旅団、師団レベルでは45回だったことから見ると、中国軍の近代化傾向が窺える。それはすなわち世界的軍事革命(RMA)の潮流だ。これまで行われたような数十万の兵士が重装備の布陣で「会戦」を交え、迎え討つような方式ではなく、小型化、無人化、精緻化、情報化に向かっているということだ。
中国軍は2009年に「合成営」(混成大隊というような意:筆者)概念を提起した。一つの「合成営」は装甲兵(戦車隊)、歩兵、砲兵、工兵(工営部隊)など多兵種で構成され、無人機等の先進的な偵察設備に止まらず、「北斗」(衛星システム、中国は米のGPSシステムに対抗してこのシステムの開発を進め民間サービスを始めたばかり:筆者)端末やデータ・ネットワーク等の設備によって陸軍航空兵、空軍、特戦部隊、電子対抗部隊との連携し、歩兵と戦車、歩兵と砲兵、陸空の共同作戦が目指される。
2013年には少なくとも「合成営」が主役の演習は5回行われた。1月に北京軍区では装甲兵営合成部隊で高山寒冷地での実弾演習を、5月に済南軍区が山地での攻撃訓練、6月下旬には北京軍区が朱日和基地において「聯教2013朱日和」新型作戦共同演習を実施した。第38集団軍(解放軍で最強で最新といわれる機動部隊、河北省保定市に駐屯:筆者)のデータ化混成大隊を主とする共同戦闘群と第65集団軍(河北省)機械化歩兵旅団が対抗演習を行った。中国で陸軍のデータ化部隊は既に完成したと指摘する専門家もおり、今回の演習によってデータ化部隊の「小で大に対抗する」の能力をチェックする狙いがあったとされる。
陸軍の「地位」に変化
陸、海、空、戦略ミサイルという四軍種で陸軍は圧倒的な「兄貴分」であるものの、すでにその地位には変化が生じ始めている。海軍と空軍の合計は陸軍を超えた(陸軍52回、海軍40回、空軍15回、第二砲兵7回だった)。海軍の3艦隊と陸軍の7つの大軍区の演習回数は表(1)の通りだ。
南海艦隊の演習数がトップだったが、2013年3月に南海艦隊は「蘭州」ミサイル駆逐艦、「玉林」、「衡水」ミサイル護衛艦、井岡山上陸艦からなる艦隊を南シナ海に派遣し、「戦備巡視」を行った。48時間継続して巡視任務を行っただけでなく、反潜水艦、防空訓練も行い、空前の規模で「島嶼奪回」演習も行った。南シナ海情勢の緊張が続く中で、中国とフィリピンの係争が続くとの見方を反映した形だ。