2024年12月12日(木)

中国メディアは何を報じているか

2014年5月1日

周永康の子分だった冀文林も更迭される

 ここで紹介したいのは香港で発行されている週刊誌『亜洲週刊』による「李鵬の娘 政経機密」という特集の「李鵬の娘 李小琳による海南100億超の土地認可内情」という記事である。この記事を取り上げたのにはいくつかのポイントがある。

香港誌の表面を飾る李鵬一族及び李小琳女史。華僑界での李小琳女史の注目度は抜群だ

 一つは習近平政権における汚職取締りが進められるなかで、取締りの重点がこれまでの石油業界から電力業界にも波及する様相を呈しており、その中で最も注目を浴びるのが李小琳女史だという点である。中国の指導部トップ9だった周永康の去就が注目される中で周の子分だった海南省の冀文林副省長が更迭されたことも憶測に拍車をかけた。記事は冀副省長が土地割譲に便宜を与える経緯が報道されている。この記事はスクープとして国内外メディアにフォローされ、ボアオ・フォーラムの際にはマスコミが殺到した。

 もう一つのポイントは記事では中国の指導者、元指導者の子弟「太子党」たちがその権力を使ってビジネスを展開し、金儲けを行うメカニズムが明快にレポートされている点だ。国有資産を私企業に割譲するプロセスで「太子党」が果たす役割やビジネスのカラクリを暴露したのだ。

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記事【2014年3月9日号『亜洲週刊』(香港)(抄訳)】

 中国の李鵬・前首相の娘、中国電力業界の女傑、李小琳女史が最近、華麗な転身を遂げ、不動産業界に参入した。彼女が役員(董事)を務める香港緑色健康発展有限公司が昨年(2013年)11月に海南省の発展改革委員会(経済政策を策定する部門:筆者)からボアオの5つの土地(価値は100億元超〔約1600億円:筆者〕)を医療センター建設等のプロジェクトに使う認可を受けたのだ。認可したのは、長年にわたり周永康の秘書を務めた海南省の冀文林副省長だった。しかし、中電新能源はこの土地獲得を公表していない。

 党中央規律委員会のホームページは海南省の冀文林副省長(県副知事に相当:筆者)が規律違反容疑で捜査を受けていると発表した。党中央政治局常務委員だった周永康の秘書や関係者が次々に捕まる中で、周の腹心だった冀は昨年末に友人に「最近、動悸がする。恐怖を感じる」と漏らしていた。捕まるのは時間の問題だったのだ。冀副省長の更迭が習近平による「虎退治」と関係することは疑問の余地がない。


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