こうしたまとめ方は別々の事象にみえる企業業績とマクロ統計である国際収支とをつなげ、経済の実相を立体的に読者に提示した点で効果的だ。
環境の急激な変化と柔軟な発想
とかく経済報道は担当分野や企業、官庁なら記者クラブごとの縦割りにしばられ、現場の記者は自分のフィールドだけに注目してしまう「たこつぼ的」な原稿を書きがちだ。それを別の発想でまとめ直すのはデスクワークの力でもあるのだが、みずからも長年、同じような姿勢で原稿を書き続けてきたデスクの側が急に柔軟な発想を出すことは正直、なかなか難しい。
だが、経常黒字が減少の一途をたどるなど、日本を取り巻く経済状況はいま急激に変化している。報道する側も強く意識し、変化の中身とその意味を伝えてゆかなければならない。過去の経験が参考にならないシンドイ作業だが、まさに最近の経済報道にはそうした視点や発想が一段と求められていると、自戒の念もこめて思う。
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