2024年4月24日(水)

うつ病蔓延時代への処方箋

2014年5月28日

 この具体的な実施方法として新たな仕組みの検討が行われ、ストレスチェックを企業に義務付ける方向が定まる。今回の改正案では「労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師または保健師による検査の実施を事業者に義務付ける」とし「事業者は、検査結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならないこととする」と明記した=表参照。

大騒ぎするようなことではない

 ストレスチェック義務化法案の国会提出前(11年10月)、厚労省が改正案をマスコミ各社にレクチャーしたのを受け、新聞各紙はストレスチェック義務化を大きく報じた。だが、その後のマスコミによるフォローはほとんどない。世間一般の関心の低さがわかる。どうなるのか気を揉んでいるのは、大企業や中堅企業で関心を持つ人事担当者たち。すでにメンタル対策を講じている企業ばかりだ。

 改正法は12年末の衆院解散で廃案になったが、成立を目指す厚労省は改正案を一部手直し再度、国会に提出した。以前はすべての事業者を対象にしていたが、今回は従業員数50人以上に義務付けるとして、50人以下は努力目標とした。来年度から施行される見通し。

 「いきなり小規模事業者にまで義務化するのは無理があるという自民党からの意見があり、修正しただけ。メンタルヘルスへの取り組みを全事業者の80%とする目標まで3年しかないのですから、段階的に義務化する従業員数を下げて行くことになるでしょう」とメンタルへルス関連企業の役員は言う。現在、日本の企業数は390万社程度といわれる。そのうち99%近い385万社が中小企業で、従業員数で20人以下の小規模事業者は330万社程度ある。つまり、ストレスチェック義務化が課せられるのは15%程度の企業ということになる。


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