2023年2月6日(月)

うつ病蔓延時代への処方箋

2014年5月28日

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 すでに、大半の大企業と中堅企業は、健康診断時や社内システムでストレスチェックを実施しており、法案成立後も新たな対策を講じる必要はなく、影響も考えにくい。問題は従業員50人以上で何もしてこなかった企業だが、厚労省安全衛生部の担当者は「難しいことを義務化するのではなく、年一回の健康診断時に合わせてストレスチェックをするだけ。だから罰則規定も設けていない。大騒ぎすることではないでしょう」という。

 確かに、やたらと騒ぎ立てるほどのことではない。厚労省が示す9項目のストレスチェックを検診時に従業員に配布し、回収するだけ。費用も1人300円などといわれているが、定かではなく、いずれにしても大きな負担増にはならないはずだ。

 ストレスチェックは表にあるとおり。誰が見ても簡単すぎる。「受診義務を法律で課すべきではない」(2012年3月日本産業衛生学会)「9項目の検査は、精神疾患の早期発見としては不十分(エビデンスがない)」(日本精神神経学会)などと、否定的な意見が多い。

 単純にみれば意味のないようなストレスチェックだが、本当の意思表示をするか否かにかかわらず受診者は自分の状態に気が付く場合もある。さらに、これまで無関心だった企業経営者にメンタルヘルス対策をさせる効果がある。民間が行う100項目のストレスチェックを国が推奨するのは無理があるだろう。「やらないよりは、やった方がいいのではないか」とある企業の人事担当者は言う。

誰のためのメンタル対策なのか

 日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所の根本忠一・研究主幹は、改正案について「ストレスチェックをして医療の専門家につなげるのは、専門家としてはアクションを起こしやすい。ただ前提に『医療の専門家につなげれば問題は解決する』という文脈が読み取れる。そうであればこの取り組みは、医療の真価が問われているともいえる。ストレス疾患は単なる身体疾患と違い職場の人間関係や業務遂行に関するストレスなど心理社会的要因が介在している。その結果として生じた病を医療が一手に引き受けることが本質的な問題解決と考えて良いのであろうか」と指摘する。


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