2024年12月9日(月)

今月の旅指南

2014年6月20日

 花火大会と並ぶ、夏の熱海の風物詩といえば、毎年7月14日から16日にかけて行われる来宮(きのみや)神社例大祭だ。熱海の街を神輿や山車が練り歩き、街全体が祭り一色となる。別名「こがし祭り」と呼ばれるが、その由来となっているのが大麦を炒って作る“麦こがし”だ。

 来宮神社宮司の雨宮盛克(あめみやもりかつ)さんによると、

 「今から約1300年ほど前、御祭神の五十猛命(いたけるのみこと)の御神像が漁師の網にかかって引き上げられました。漁師が麦こがし、百合根、橙(だいだい)、トコロ(山芋の一種)をお供えすると、とても喜ばれたといわれます。祭りの名前はこの故事から来ており、今でも祭り当日にはこの4品を神饌(しんせん)としてお供えします。かつて麦こがしは貴重なビタミン源で、脚気(かっけ)の特効薬でもあったそうです」とのこと。

 祭りは、14日夕方の宵宮祭で始まる。15日には宮神輿の渡御があり、境内で鹿島踊や神女神楽(みこかぐら)、浦安の舞が奉納される。夕方6時30分からは国道135号線に神輿や山車が30基以上集まって練り歩く山車コンクールが開催され、街は熱気に溢れる。

 16日の神幸祭(じんこうさい)では御鳳輦(ごほうれん)が出て、総勢500人の時代行列が繰り広げられる。御鳳輦を担ぐのは42歳の地元男性100人ほど。これは厄落としのためで、100年以上続く伝統なのだとか。道中、猿田彦命(さるたひこのみこと)(天狗)がまく麦こがしに触れると無病息災で過ごせるという。一行は海に向かい、熱海サンビーチで御鳳輦が海に入る「浜降り神事」が行われる。16日にも山車コンクールが開催される。

御神像発見の故事にちなみ、御鳳輦を担いだ一行が海に入る

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