日本の着物を着て東京・浅草寺を訪れた中国人観光客(15日)
日本と中国が台湾をめぐって対立を続け、中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけたのを受け、日本の株式市場では17日、観光や小売関連の株が下落した。
日本を訪れる観光客数では、中国は常に上位に入っている。そのため、訪日客と関係の深い企業の株に影響が出たとみられる。
大きく下げたのは百貨店で、三越や伊勢丹を経営する三越伊勢丹ホールディングスの株は12%近く急落した。化粧品の資生堂など有名ブランドの株も大幅に値を落とした。
高島屋とユニクロの株も5%以上下落。日本航空とANAホールディングスも値を下げた。
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの株は5.8%下落した。
株価下落の背景には、ここ数日の日中対立の深まりがある。
中国政府は16日、自国民に対し、安全へのリスクと中国人を対象とした犯罪の増加を理由に、日本への留学について再考するよう促した。
中国メディアによると、中国教育省はすでに日本に滞在している留学生に向け、治安状況に十分気を配るよう伝えた。
日本政府によると、日本の教育機関で学ぶ中国人留学生は昨年、10万人を超えた。
こうしたなか、中国の航空会社は先週末、日本行きの便について、キャンセルなどの払い戻しに応じると発表した。中国南方航空、中国東方航空、中国国際航空の各社。
中国外務省は14日夜、自国民に対し、日本への渡航を控えるよう注意喚起していた。
日中対立の背景
高市氏は今月7日の衆院予算委員会で、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。
「存立危機事態」とは、2015年成立の安全保障関連法に出てくる法的用語で、同盟国に対する武力攻撃が日本の存立を脅かす事態を指す。そうした状況では、脅威に対応するため、自衛隊が出動できる。
台湾は、日本の最も近い島から南西へ100キロメートル超しか離れていない。
共同通信が16日に発表した世論調査では、中国が台湾を攻撃した場合、日本が自衛権を行使すべきかについては、日本国民の間で意見が割れていることが示された。
中国と日本は、外務高官レベルの協議を18日に予定している。
木原稔官房長官は中国の動きについて、「首脳間で確認した戦略的互恵関係の推進という大きな方向性」と相いれないと述べている。
中国は台湾を、いずれは自国の一部となる、分離した省とみなしている。統一のために武力を行使することを、中国は排除していない。
一方で、台湾では多くの人が、自分たちを独立した国家の一部だと考えている。ただ、ほとんどの人は、台湾が中国からの独立を宣言せず、中国と一体になることもしない、現状の維持を支持している。
(英語記事 Japan tourism and retail stocks slide after row with China over Taiwan)
