2025年12月9日(火)

BBC News

2025年11月18日

上海で展示された「クレヨンしんちゃん」

中国で公開予定だった日本映画が少なくとも2作品、公開延期となった。中国国営メディアが17日、伝えた。中国と日本の両政府は現在、台湾に関する高市早苗首相の発言をめぐり対立している。

中国中央電視台(CCTV)によると、「はたらく細胞」と「映画クレヨンしんちゃん 超熱!カスカベダンサーズ」などの日本映画が公開延期となった。

14日から中国全土ですでに公開中の「劇場版『鬼滅の刃(やいば)』無限城編 第一章 猗窩座(あかざ)再来」については、公開中止になるかどうかはCCTVは伝えていないが、対立が深まる中でチケット販売が減少していると報じた。

東アジアでの中国の動きを批判してきた高市氏は今月7日の国会答弁で、台湾に対する中国の武力行使を伴う「台湾有事」が起きた場合は、自衛隊が集団的自衛権を行使する「存立危機事態」になり得ると答弁した。

CCTVによると、中国の映画配給会社や輸入業者は、中国市場での日本映画の全体的な見通しに加え、中国の観客の気持ちを検討し、公開延期を決めたという。

「映画クレヨンしんちゃん 超熱!カスカベダンサーズ」は、少年と仲間たちの冒険を描いたアニメコメディで、数週間以内に公開される予定だった。「はたらく細胞」は、人間の白血球など体内の細胞がウイルスと戦う様子を描いた漫画原作の実写映画。

CCTVは、それぞれの映画の公開延期がいつまで続くかには触れていない。

CCTVは、高市首相の発言を受けて「劇場版『鬼滅の刃』無限城編」に対して「中国の観客が強い不満を抱いている」と伝えた。

高市氏は11月7日の衆院予算委員会で、中国の台湾侵攻が「戦艦を使って武力の行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースだ」と述べた。

中国政府はこれを受けて14日、自国民に日本への渡航を避けるよう促し、学生には安全上のリスクを理由に留学を再考するよう呼びかけた。

日本の観光、航空、流通の関連株は17日、中国の対応の影響を投資家が懸念したため急落した

国外から日本を訪れる観光客の多くは中国からで、今年は年初から9月末までに中国から約750万人が日本を訪れている。

中国は台湾を、いずれは自国の一部となる、分離した省とみなしている。統一のために武力を行使することを、中国は排除していない。

一方で、台湾では多くの人が、自分たちを独立した国家の一部だと考えている。ただ、ほとんどの人は、台湾が中国からの独立を宣言せず、中国と一体になることもしない、現状の維持を支持している

(英語記事 Japan movie releases postponed in China after Taiwan row

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c620p54exe3o


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