2025年12月17日(水)

BBC News

2025年12月16日

アメリカのドナルド・トランプ大統領は15日夕、BBCが昨年10月に放送した報道番組が、自分の2021年1月6日の演説を編集した問題をめぐり、名誉毀損でBBCを提訴した。

米フロリダ州の裁判所に提出された書類によると、トランプ氏はBBCを名誉毀損と、フロリダ州の消費者保護法(欺瞞的・不公正商慣行法)違反で訴え、それぞれについて50億ドルずつの損害賠償を請求した。

BBCは今年11月にトランプ氏に謝罪したものの、賠償要求は退け、「名誉毀損の根拠はない」との見解を示している。

トランプ氏の法務チームは、BBCが「意図的に、かつ悪意を持って、欺瞞(ぎまん)的に演説を改竄(かいざん)」し、トランプ氏を中傷したと非難した。BBCは提訴に対してまだ回答していない。

問題となっている報道番組「パノラマ」のドキュメンタリーは、2024年米大統領選の直前にイギリスで放送された。このドキュメンタリーに関するBBC内部からの流出したメモを英紙デイリー・テレグラフが今年11月初めに報道し、初めて大きな注目を集めた。

BBCの編集指針基準委員会の元外部独立顧問が書いたこのメモは、トランプ氏の演説の一部が編集され、2021年1月の連邦議会議事堂襲撃を明示的に扇動したかのように示唆する形になっていることに懸念を示していた。

トランプ氏はこの演説で、「議会議事堂まで歩いて行き、勇敢な上院議員や下院議員の男女を応援する」と述べた。

しかし、「パノラマ」はこれを編集で、「議会議事堂まで歩いて行き(中略)私もあなたたちとそこにいる。そして私たちは戦う。死に物狂いで戦う」と話したようにした。つなぎ合わせた二つの発言は、50分以上離れていたものだった。

演説全体では、トランプ氏は「戦う」または「戦っている」という言葉を、さまざまな場面で、合計20回使用していた。

この問題で、BBCではティム・デイヴィー会長が辞意を表明したほか、BBCニュースのデボラ・ターネス最高経営責任者(CEO)が辞任した。

トランプ氏は先月、BBCを訴える方針だと発言。トランプ氏は、「そうしなくてはならないと思う。彼らはずるをした。私の口から出た言葉を変えた」と記者団に話していた。

BBCは、「パノラマ」による演説の編集が、「(トランプ氏が)暴力的行動を直接呼びかけた」という「誤った印象」を与えたことを認めている。

(英語記事 Trump sues BBC for defamation over Panorama speech edit

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cqjg9g18l20o


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