2026年1月5日(月)

下水道からの警告

2026年1月5日

 この先通行止──。

 4車線の大きな道路の先には、低層の建物の中で巨大なクレーンがそびえ立ち、操縦音とともに現場作業員が復旧工事を行っていた。

11月11日、埼玉県八潮市の道路陥没事故現場の交差点。現場では懸命な復旧作業が行われていた(WEDGE以下同)

 埼玉県八潮市、県道松戸草加線中央一丁目交差点。2025年1月28日に道路陥没事故が起こったこの現場は、小誌記者が歩いた11月時点も立ち入り禁止の柵で囲まれていた。周辺には、一軒家やマンションと共に、物流会社などが立ち並ぶ。

 「6つの道路が通る交差点は住居専用地域と準工業地域、工業専用地域が重なり合い、マイカーやトラックの往来が絶えない場所です。事故発生以降、迂回路を案内していますが、住民からは『子どもの通学路が迂回路になり交通量が増えて怖い』『一日も早く元の生活に戻りたい』という切実な声が上がっています」

 そう語るのは、埼玉県下水道局下水道事業課副課長の関根和則さん。

 事故が起こった交差点の約10メートル下にあった下水道管は当時、どのような状態だったのか。交差点の地下には、埼玉県下9市3町の下水が流れる大きな〝流域下水道〟があった。1983年に敷設され、処理区域人口は全体で約120万人にも上る。直径4.75メートルの下水道管の中の水位は常に2メートルほどあったという。

 下水道管は、同じ太さでまっすぐ延びていたわけではない。交差点に入る直前では、太さが違う直径3メートルの下水道管が敷設されており、点検用のマンホールを経由して下流側がカーブする地点でもあった。

 「事故現場は異なる太さの管によって高低差が生じ、さらにはカーブによって水が壁にぶつかって水しぶきがたっており、硫化水素が発生しやすい場所でした」(同)

 八潮の道路陥没事故は、世間に大きな衝撃を与えたが、「埼玉県は5年ごとの老朽化点検が義務化される以前から、調査を行っていた自治体だった」と関根さんは言う。

 2015年に改正下水道法が全面施行され、腐食するおそれの大きい管路では5年に1回以上の点検が義務化された。これ以前から、埼玉県は管理する全ての下水道管を対象に5年に1回の頻度で調査を行うなど、他自治体よりも安全側の基準で維持管理していたはずだった。

 「対策していたにもかかわらず、事故が起こり、多くの方にご迷惑をかける結果となってしまいました」

 関根さんは住民へのお詫びと悔恨の念をにじませながら語った。

騒音、振動、硫化水素(H2S)を計測している。埼玉県の職員が自転車に乗り、嗅覚で臭気の確認をしていた

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