残り続ける事故の影響
たとえ道路の通行ができても
事故発生後、住民から1800件ほどの電話による相談や苦情があった。中には、県外の方からのお叱りや救援方法の提案のような意見もあったという。関根さんはこう話す。
「本来は住民が安心して利用できるよう、下水道を適切に維持管理することが我々の使命であるにもかかわらず、事故が発生してしまった。『早く元の生活に戻りたい』という言葉は、心に突き刺さる思いでした」
埼玉県は現在進めている復旧工事に加え、維持管理性や冗長性の確保なども踏まえた本格的な復旧として、元々敷設されていた下水道管に並列で新たに管をつくる〝複線化〟の工事を予定している。26年度初めには仮復旧として、事故が起きた県道は暫定2車線で通行可能になる予定だ。しかし、現在進める復旧工事だけでも300億円ほどの費用がかかるといい、本格的な復旧のための金額がどれほど膨らむかはまだ明らかではない。国土交通大臣に対して埼玉県知事が復旧にかかる支援の要請をしているが、財源も含めて事故の影響はこれからも続く見込みだ。
復旧と同時に、同様の事故を防ぐための対策も怠らない。
「今後もより厳格な老朽化調査によって危険な箇所を把握し、速やかに対応していく。そのためには新しい技術なども活用しながら民間企業とも協力して取り組みたい。また、万一に備え、迅速に対応ができるような仕組みも見直していきます」(同)
迂回にご協力をお願いします──。現場周辺の地域住民にとっては、当面の間、非日常な生活が続くことは避けられない。今回の事故は、「衛生環境を守る」という下水道の意義を果たし続けるためには「適切な維持管理が必要」という〝当たり前の現実〟を私たちに突き付けた。決して、「対岸の火事」ではなく、「自分たちの住むまちでも起こり得ること」と捉えることが、大きな教訓の一つなのではないか。
