2025年12月17日(水)

BBC News

2025年12月16日

イギリスのクリス・ブライアント貿易相(左)と韓国の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長は、ロンドンにあるサムスンの旗艦店で合意を発表した(15日夜)

イギリスと韓国は15日、自由貿易協定(FTA)の更新で最終合意した。英政府は、同国で多数の雇用が生まれ、経済に巨額の金がもたらされるとしている。

この合意で、ほとんどの商品とサービスに関して、現行の無関税の貿易が延長される。製薬、自動車製造、酒類、金融サービスなどの英産業が恩恵を受けるとみられる。

英労働党政権がこうした合意に至ったのは、欧州連合(EU)アメリカ、インドに続いて4件目。どれもこれまでのところ、英経済に具体的な影響をもたらしていない。

イギリスでは近年、韓国の文化(音楽、化粧品、食品など)の人気が高まっている。

合意の条件は、EUと韓国の間のものと同じ。イギリスはブレグジット(EU離脱)後も暫定的にこれを維持していたが、来年1月に失効する予定だった。

新たな合意によって、イギリスの対韓輸出で20億ポンド(約4140億円)相当が関税の引き上げを免れる。

キア・スターマー英首相は、この合意を「イギリスのビジネスにとって大きな勝利」とアピール。「両国の貿易をさらに容易にするこの合意は、経済を活性化させ、雇用と成長を支援する。それは国全体に波及する」と述べた。

英ビジネス貿易省によると、イギリスにとって韓国は25番目に大きな貿易相手。今年6月末までの12カ月間で、イギリスの貿易総額の0.8%を占めた。

同じ期間に、イギリスの対韓輸出は16.4%、韓国の対英輸出は10.8%、それぞれ減少した。

韓国の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長はBBCに、韓国とイギリスの経済は「補完的」だと説明。両国間の貿易の減少は、双方の関係が以前より重要でなくなったことを示すものではないとした。

ヨ氏はまた、新たな合意について、製品の原産地に関する規則をよりビジネスをしやすいものにするといった非関税障壁の削減や、新たなデジタル保護や投資保護の創設などに重点を置いたものだとした。

そのうえで、「このような枠組みを通じてより緊密に協力することで、この二つの経済は勝利できる」と付け加えた。

「素晴らしいニュース」

ベントレーモーターズ、ジャガー・ランドローバー(JLR)、ギネスを所有するディアジオなどの英企業各社は、今回の韓国との合意を歓迎した。

ベントレーモーターズのフランク=シュテフェン・ヴァリザー会長兼最高経営責任者(CEO)は、韓国は同社および高級車市場全体にとって重要な市場だと述べた。

「韓国との即時の継続的なアクセスと前向きな長期的貿易協定を確保できたことは素晴らしいニュースだ。円滑な国際貿易は、イギリスの自動車産業の成長にとって不可欠だ」

ディアジオのニック・ジャンジャニ暫定CEOは、ギネスに対する「韓国の消費者の間で高まっている需要を満たすのに役立つ」と述べた。ギネスは英チェシャー州ランコーンで缶詰めされている。

スコッチ・ウイスキー協会のエミリー・ウィーヴァー・ローズ暫定国際部長は、アジア太平洋地域はウイスキーの金額ベースで最大の地域市場だと説明。「韓国における貿易障壁の撤廃は、スコッチ・ウイスキーにとって、特にシングルモルトにとって、重要な市場へのアクセスをさらに強化する」と述べた。

(英語記事 UK and South Korea strike trade deal

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c5yjq8glglpo


新着記事

»もっと見る