2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年7月10日

 ASEANがそういう役割を果たすためには、コンセンサスでの意思決定をやめ、7~8カ国の賛同で意思決定するようにすべきである。反対があろうが、そうしないと、ASEANは麻痺、実際的意味の喪失、中国による操作に見舞われることになろう、と述べています。

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 ASEANの意思決定を、コンセンサスから多数決に変えるべきである、というのは、たびたび出て来る主張で、この論説もその一つです。確かに、多数決制に変えることができれば、中国が特定加盟国を通じてASEANの決定を阻止する可能性がなくなるので望ましいのですが、カンボジアやラオスのような国にとり、コンセンサス方式は自らの権利を守るために必要でしょう。提言の実施には、そうした困難な問題があります。

 ASEAN諸国間での意思疎通が最近良くなっていること、中越対立について中国を名差ししてはいませんが、懸念表明の共同声明が出たことを見ると、ASEANは自ら進化しているように見えます。それを見守るのがよく、意思決定の方法を多数決に変える必要性は、以前より小さくなっていると言えるかもしれません。 

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