2024年6月25日(火)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年7月9日

 斯氏は知的財産権訴訟などを専門としながら、数多くの人権侵害案件を手掛ける。卓越した法律知識と法廷技術を持つ斯氏は、浦氏が最も評価する弁護士の1人であり、重慶の労教訴訟も共に手掛けた。

 一方、郭氏は早くから人権擁護活動を展開し、民間研究機関「伝知行研究所」を立ち上げ、12年4月に山東省の自宅に軟禁された盲目の人権活動家・陳光誠氏を北京に脱出させたことで知られる。

 浦氏の問題をめぐる2人の決定的な対立は、共産党・公安当局と「政治事件」を闘う際、「高調」(派手)に展開するか、「低調」(控えめ)に抑えるか、という点に集約される。簡単に言えば、前者はネットなどで案件の詳細を公開し、人権派弁護士らが「団結」して闘う手法。後者は公安当局との関係を重視して当局を過度に刺激しないやり方だ。刺激すれば、さらに圧力を加えられる恐れがあるからだ。

 斯氏は5月下旬に発表した文章で「死磕派弁護士」とは何かに答えている。中国の刑事司法が、「公検法一家」(警察・検察・裁判所が一体)で、公正な制度が欠如する中、(1)法手続きに厳格で、司法体系の中の「隠れたルール」に強く抗議する(2)不服があればそれを公開していく—というスタイルで戦う弁護士を指すと定義し、自身もそれを実践している。

「カギは民間による反撃の力」

 北京の人権派弁護士や法律専門家の間では意見が分かれた。

 著名人権派弁護士の李方平氏は「浦氏の問題は政治事件。『抗争』を展開しなければ受け身になってしまう。低調にして政治化を回避すれば、当局の思う通りに引っ張られてしまいかねない。そうして調査対象が拡大されることも排除できない」と解説する。

 著名人権派弁護士・唐吉田氏は3月下旬、市民を違法に監禁する「黒監獄」と呼ばれる闇施設を告発するため現地の黒竜江省を訪れたところ警察に拘束され、拷問を受けて肋骨を多数骨折した。「拘束」の一報を受け、数十人の人権派弁護士仲間や活動家らが次々と現地に向かい、拘束先の公安局を取り囲み、釈放を要求した。結局、唐氏らは15日間拘束される行政処分を下されただけで済んだ。

 唐氏はこう語る。「カギとなるのは民間による(公安当局への)反撃の力だ。黒竜江省の事件では多くの弁護士や市民が来なければ、あんなに早く釈放されなかった。事件が法律の範囲を超えて社会事件になったら、より多くの人が注目することで当局への圧力にしなければならない。(浦氏の問題でも)『低調』にやれば、別の罪でやられる可能性が高い」


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