2024年6月16日(日)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年7月9日

 6月末には浦氏と同じ事務所の弁護士が、張思之弁護士が8日前に浦氏と接見し、「浦氏がギョーザを食べた」ことしか公にしなかったことから、人権派弁護士の間では、浦氏の案件の情報公開に消極的な張弁護士らの手法を疑問視する声が高まっている現実がある。

「政治を知る」ギリギリの活動

 これに対して張弁護士はどう見ているのか。「私はいかなるコメントもしない。それぞれに各自の見方があり、発言する権利がある。しかしわれわれの現在のやり方は浦志強氏と相談したものだ。われわれは浦氏の希望を尊重しなければならない。彼は弁護士であり、結局のところ自分でどうするのがベストか自分で最もよく分かっている」

 浦氏は労教案件などを推し進める際、内外のメディアを巻き込み社会問題化させてきた。その点で「死磕派弁護士」の代表とされている。その一方で、自身を監視する警官との決定的な対立を避け、拘束・逮捕の一線を超えないラインを熟知した上で、ギリギリの活動を展開した。

 13年1月、労働教養制度の問題などで注目を高めた浦氏は、中国人気週刊紙『南方人物週刊』の表紙の写真を飾った。その直後、著名評論家・鄢烈山氏は「浦志強はなんで(刑務所に)行かないのか」という文章を発表し、浦氏が「政治を理解し、技巧を持っている」からだと評した。

 中国社会の進歩は、共産党・政府と、人権派弁護士ら民間知識人とのせめぎ合いの中で展開される側面が強い。つまり共産党は「下」からの圧力があって初めて危機感を感じ、制度改革を前進させるのだ。その最たる例が浦氏の手掛けた労教制度の廃止だった。

 習近平指導部は「死磕派」人権派弁護士の団結を恐れ、彼らの行動をより一層、許さなくなった。「天安門事件25年」の中で起こった浦氏の事件は、今後、中国社会変革のカギとなる人権派弁護士と共産党との攻防を見極める上で注目しなければならない「事件」と言えよう。

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