ボールねじやリンクボールなど機械要素部品を開発、生産しているTHKは、機械要素部品を活用したロボットを開発した。同社が持つ直動部品を使い、筋肉のような伸び縮みを作り出した。関節のような回転運動ではない動きを見せる。
しなやかな動きを見せられることから、繊細な手元の作業もできるようになっているという。
アニメキャラクターの現実化技術やVR遠隔操作を手掛けるHatsuMuvは、「人型」に近いロボットを開発する。操作機器は腕だけでなく、胸の位置まで広がる「上半身スーツ」のようなものとなっており、頭部には魚眼カメラやマイクも設置されている。
上半身全体や頭の動き、視覚や聴覚の作業データも収集する。「人間がタスクを行う時にどのような方法で実行するのか、可能な限り全ての情報を記憶させる」と代表取締役の林志鵬氏は解説する。
ロボットは車いすほどの大きさに小型化することもできる。サービス業など人の代替となる役割も担うことも狙っていくという。
日本企業が抱える課題
製造業を中心に企業向けの技術開発や提供を強みとしてきた日本企業にとって、「産業用」に焦点を当て、特定用途のためにフィジカルAIを展開していくのは、効果的な戦略と言える。しかし、その技術の実現や運用部分で課題を抱えているようだ。
国内でフィジカルAIの研究開発支援企業の担当者は「日本の技術レベルは上がってきており、世界で戦う力はある」とするが、「実際に動かしたという事例が少なく、フィードバックが取れず、加速度的に進めることができない」と指摘する。
産業用をはじめロボットの多くは作業員との協働によって成り立つ。そうしたことを試せる状態になっても、現場への導入が進んでいないことが多いという。「現場に受け入れる、導入する、という段階で作業を行ってきた人間とのハレーションが起こりやすくなってしまっている」という。
改善は得意なものの、新たに作り出すのは不得手な日本企業の特性が出ているのかもしれない。また、過度にリスクを懸念する日本人の気質もあるのかもしれない。
代替として「仮想空間」での実証もあるが、そうした空間を作るコストと、現実世界との整合性も疑問が残る。「お金も手間もかかる実証をどう進めていくのかがカギとなる」ようだ。
