チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年8月25日

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 国際ビジネスの常識からしても韓氏の論理はデタラメなものであろうが、問題は、彼の提唱するところの、外資企業を相手とする「新たな闘争」は、今の習政権の実際の政策方針となってしまっている点である。そう、まさにこの韓氏論文が発表された7月下旬から、中国政府は上海福喜食品の摘発を皮切りにして、欧米や日本の自動車関係メーカーを中心とする大手外資企業に対する「たたき作戦」を一斉に開始したことは前述の通りだ。タイミング的に見ても、この一連の作戦展開の背後にあるのは、上述の韓氏論文の提言した「新たな闘争」であることは明らかであろう。

 こう考えてみると、上海福喜食品の摘発から日系企業12社に対する200億円罰金までの中国当局の一連の動きは決して無関係の個別事案ではないことが分かる。中国市場から外資企業の影響力を一掃することはまさに彼らの「闘争」の最終的狙いなのであろう。実際、中国市場で大きなシェアと影響力を持つ食品や自動車分野の外資企業に照準を当てているのもまさにその故である。

 つまり、本来なら中国企業が主体となってビジネス競争の手段をもって外資企業と戦うべきところの「中国市場争奪戦」を、共産党政権が政治的力をもってそれを代行しようとしているのだ。中国企業が国内市場の競争において外資企業に負けていれば、共産党政権は警察権力を含めた政治的力をもって外資をたたき潰して中国市場を奪い返す――。それが、中国当局が展開している外資企業たたき作戦の本質なのである。

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