2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年9月29日

 少なくとも、米国は中国の威嚇で引き下がらないことを示すために西太平洋での偵察を続けるべきである。日本、フィリピン、豪州、ベトナムなどは米国の決意が示されるか、見ている。米国は、中国に対し、偵察機への脅威が続くならば、その護衛にF-15またはF-22を派遣せざるを得ないと言うべきである、と論じています。

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 この社説は、中国の戦闘機が日米の偵察機などに異常接近する事件の頻発を受け、中国のリムパック招請撤回や米国のEEZ(排他的経済水域)内での軍事活動の自由を行動で示すことを主張しています。基本的には当然の主張です。

 しかし、偵察行動の継続は当然としても、もっと中国とこの件で話し合いをする方が望ましいでしょう。その過程で、中国の挑発の背後事情もよりよく理解できるでしょう。

 この問題は、中国側がEEZ内での軍事偵察行動を含む軍事行動は許されないとの解釈をしており、米国がそういう解釈をしていないことに対立の根っこがあります。米国の解釈の方が、海洋法起草過程から見て理があると思われますが、EEZ内での許容される軍事活動について、海洋法上、曖昧な点もあります。また、たとえ海洋法解釈について一致出来なくとも、衝突防止のための行動指針を作ることも重要です。

 中国が海洋強国になるに従い、海洋利用の自由に利益を見出してくる可能性はあります。自分のEEZで他国の軍事行動を禁止することは、中国海軍がインド、米国、日本のEEZでの軍事行動の自由は諦めることにもなります。

 中国側は、自分の主張に固執して、協議に応じない可能性もあります。尖閣諸島のケースでは、日本からホットラインの設置などを提案しても応じていません。そういう場合には、この社説が言うような行動に出れば良いと思われます。

 なお、こういう行動が下級指揮官やパイロットの独断という説は間違いでしょう。共産主義国では、軍の規律、軍に対する統制はそれなりにしっかりしています。

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