2023年2月5日(日)

対談

2014年10月6日

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迷走するコンパクトシティ

木下:人口減少社会では、地方は交通網で統合されつつ機能や産業も集約されて、集約された土地と土地を人が活発に移動する、このシナリオの上ですべてを考えなければいけないのだと思います。

 今までの地方は、人口規模も産業集積も無関係にひとまとめになって存在していたといえます。そこでの生活のイメージを転換しなければいけないし、イメージの変容を待たずに現実はそうなりつつある。「住む家があって、会社まで電車で通勤する」というイメージが共有されていて、そこに生活の軸が寄っているけれども、地方を見れば居住も働き方もどんどん変わりつつあることが明白です。そこに人々の感覚がどこまで追いついていけるのか、産業構造の問題としてもそれが問われていると思うんですよね。

 これまでは、やっぱりそれぞれの「場所」に拘束されていた。これからは大都市では人が集まり、それ以外の地域では移動が活性化する。そういうふうになるのではないかと思っています。

飯田:ある場所が人々の繋留点、わざわざ足を止めるポイントになるためにはやはり何かが集積していないといけないですからね。やはりしきりに喧伝されているキーワードに「コンパクトシティ」がありますが、これは研究者泣かせの概念で、なぜなら論じている人によって定義がまったく違うんです(笑)。

 コンパクトシティに関連して、もっともまともな考え方だと思ったのは、「DID」という概念です。

※DID(Densely Inhabited District):1平方キロメートルに4000人以上の人口密度のある区域が隣接して、人口5000人以上となる地域のこと。2010年の国勢調査の結果では、全国1728市町村の約48%に当たる829市町村で、1319地区がDIDとして設定された。
参照:内閣府『地域の経済2012 集積を活かした地域づくり』 
http://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr12/chr120303.html

飯田:人口集中地域を分散させずに連続させて、隣接区域全体の人口密度を上げていく。それくらいが当面の目標なのに、出来上がってみると「学校、市役所、県の出先機関をひとつの庁舎に入れました!」というハコモノになっている。「それはたぶんコンパクトシティじゃないんだけどな」と思います。

木下:目標を取り違えていますよね。

飯田:東京都がそれを行うなら意味はあるかも知れない。希少な土地の節約にもなるし、高層建築の低層階に公的な機能を集約させて、それ以上の高層階はすべて住宅にするということもできるでしょう。でも、地方都市はそういう場所ではない。むしろDIDが途切れないようにする、市の中に10箇所のDIDが分散するのではなく、せめて1箇所に集約させる。そういう誘導が必要だと思うんですよね。


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