2023年2月6日(月)

対談

2014年10月6日

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シムシティには「維持費」を盛り込むべき?

飯田:ついでに「国土強靭化」もディスっておきましょうか(笑)。強靭化政策の推進者も支持者も、建物や建造物には維持費がかかるというシンプルな理屈を、まったく理解していないんですよね。

 ありえない仮定ですが「建てて終わり」であれば、一応は「景気対策としてやった」という理屈は成立するかも知れない。でも借金で建ててしまえば、そのあとは借金の金利と維持費を払い続けることになります。建造時のイニシャルコストよりも、維持していくランニングコストのほうが高くなるという点を意識しないといけない。逆に維持費がペイできる事業であれば、ある程度の必要性はあると言えるでしょう。

木下:まったくそうなんです。イニシャルコストだけ国や自治体が支援しても、あとは自走可能な設計であれば全然OKだと思います。

飯田:いまは国債利回りも低いのでたいした金利負担ではありませんから、自走可能だったらGOサインを出しても構わない。ところが、もしその事業が本当に自走可能であれば、これだけの低金利下では自治体や国が出てくるまでもなく、とっとと民間企業がやるはずなんですよ。

木下:すでに民間がやれる条件になっている。

飯田:となるとまあ、そもそも無理な計画なんだろうな、と(笑)。

木下:国土強靭化路線の人たちは、「作らなければダメだ!」と言い続けてきて、いざ「朽ちるインフラ」問題が表面化すると、「ほら見たことか! 作り続けないからこういうことになるんだ!」と言い始めていますね。

※朽ちるインフラ:根本祐二『朽ちるインフラ――忍び寄るもうひとつの危機』(日本経済新聞社、2011年)で指摘された、東京オリンピックや大阪万博開催前後に集中的に建設された道路、橋梁、学校、上下水道などのインフラ老朽化問題。同書では、現存の社会資本を単純に更新するだけでも、年間8.1兆円の投資を50年間続けなければならないと試算されている。

木下:基本的にはストックを作り続けることがすべての前提なんですよね。でも国費が負担してくれるのはイニシャルコストであって、維持費ではない。なかには「すべての道路を国道にしよう」と主張する人までいる。けど、ない袖が振れないのは地方だろうと、国だろうと同じであることを忘れてはいけません。

飯田:私たちでは維持費をまかなえないから、他地域の税金で維持してくださいという発想ですよね。

木下:最近は国道を県道に、県道を市道にとどんどん移譲されていますが、「国道が県道になったら草が生えるようになった」とか、「県道が市道になったら窪みを直すスピードが遅くなった」とか、必要性も考えずにマリー・アントワネットも真っ青になるようなご発言をする方が多くてびっくりします。全部対応していたら、どれだけ予算があっても足りません。最低限の必要性や、どこで収支を合わせるかとったことをトップがあらかじめ決めておかないと、際限がないですね。一番危ないのは、ある年だけバーっと自治体の予算が膨れ上がって、一斉に公共事業が行われるケースです。


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