2024年11月22日(金)

不況を生き抜く管理会計

2009年7月3日

 このように「たくさん売れれば安くできる」という会社の論理と、「安くしてくれれば買う」という顧客の論理が一致したところにビジネスの成功が生まれる。

 ---これが量産効果だ。量産効果が働くと次のような好循環が生まれる。 

 かくして、これまでの自動車業界や電機業界では、とにかく「売上を大きくしろ!」「シェアを伸ばせ!」という規模の論理が重視されてきた。

値下げの呪縛から逃れられない日本企業を
低成長が襲う

 値下げしてもたくさん売れば儲けが出る。しかし値下げの場合に「どれくらい売らねばならないか」というハードルは驚くほど高い。---この値下げ分岐点については前回で確認したところだ。

 これまで、とにかく日本の景気はよかった。戦後ずっと人口が増え、あらゆる生活財の需要が拡大していった。そのなかで自動車も電化製品もたくさん売れた。しかしその日本の経済成長と需要拡大に陰りが見えはじめている。少子高齢化に人口減少、先行き不安が高まってきた。

その国内需要の低迷を自動車・電機各社は海外への輸出によってカバーしてきた。欧米やアジア市場の成長力のある国々へ向けて輸出を拡大し、これによって量産効果を継続してきたわけだ。

 しかし、その輸出にも大打撃が発生した。昨年2008年9月に発生したリーマンショック以来のサブプライム不況で世界経済は一気に減速。自動車・電機業界の輸出にも急ブレーキが掛かった。その結果、自動車および電機業界は2009年3月決算にて散々な赤字を発表したことはご存じの通りだ。

 大手電機業界で最終黒字を確保した三菱電機では、最近事業の絞り込みを行って、携帯電話などいくつかの事業から撤退していた。もはや撤退なくして黒字が確保できないほど世界経済の状況は悪くなったのかもしれない。


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