2022年9月28日(水)

炎上?感動?ネットで話題のニュース

2014年10月21日

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カツセマサヒコ (かつせ・まさひこ)

プレスラボ

1986年東京生まれ。既婚。2014年、4万人の印刷会社から5人の編集プロダクション・プレスラボに転職。総務部から編集/ライターへの業種変更をする。趣味はスマホの充電とSNS。Facebookの「いいね!」欲しさに奔走するミーハーライター。

テレビ番組特有の「予定調和」に
疑問を抱く人たちも

 井ノ原さんの発言が多くの賛同を得た理由は、以前から番組サイドによる有働アナへの対応に不満を抱いていた視聴者たちの胸の内を井ノ原さんが代弁したことに加え、今回の有働アナのような「被害者」に該当する人が、恐らく視聴者の身のまわりにもおり、その人たちも「守られるべき人」なのだと視聴者に気付かせたことにあると思われる。

 セクハラは男女雇用機会均等法において、「相手方の意に反する性的言動」と定義されている。つまり「被害者側が加害者の言動に不快感を覚えたかどうか」が一つのボーダーラインとなっており、そこに立場や年齢は関係ないのだが、その線引きは実に曖昧だ。「いじられても大丈夫なキャラクターだから、許されるだろう」と高をくくるのは間違いであり、無自覚のうちに親しい人との関係が「加害者・被害者」に変わっているケースもありえる。今回の出来事をきっかけとして、自身の言動について改めて見直すべきなのは言うまでもないことだ。

 また、今回の話題が反響を呼んだもう一つの理由として、井ノ原さんの発言により、決められた台本に沿って進行されるのがデフォルトとされるテレビ番組に番狂わせが起き、その結果、奇しくも番組が最も伝えたかったであろう「黙認されたセクハラに気付かせること」を番組自らが反面教師となって実演することになってしまったことにあると考える。

 さらに、このやり取りがネット上で盛り上がった理由について考えてみよう。ツイッターをはじめとするSNSを見ていると、テレビ番組の「予定調和」を狙う雰囲気に疑問を抱く人は少なくないことに気付く。偏った報道ではないか、事実を隠蔽した報道ではないか、自然なやり取りに見せかけてあらかじめ脚本が用意されているのではないかと疑う人たちも少なからずいる。そうした人たちからすると、今回の「番組内の出演者のセクハラをめぐる発言」は、制作サイドに操作されていない生きた情報として届けられたように感じられたはずで、その希少性がまた大きな反響を呼んでいるのではないだろうか。

 ネットの普及によってテレビで報じられない内容も手に入りやすくなった今では、「テレビ番組」は情報を発信するツールではなく、シナリオに沿った映像作品を配信するツールと思われてしまっているのかもしれない。テレビの内容をネットでうがつようないまのネットとテレビの関係が最良のかたちとは思えないが、今回の井ノ原さんの発言のような「本音」と思われる声がテレビからも頻繁に聞かれるようになれば、また情報のあり方は変わってくるのではないか。

【編集部注】1ページ目の出典元を、「アメーバニュース」から「キャリコネニュース」に変更いたしました。(2014年10月24日12:35)

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