2024年4月27日(土)

田部康喜のTV読本

2014年10月22日

ドラマに自らの青春を投影するクドカン

 「あまちゃん」でそうであったように、クドカンはドラマに自らの青春を投影している。フィクションを現実のモデルに求めるのは邪道だという見方もあるが、三陸沿岸の風景や人情をすくいあげた彼は再び、テレビドラマのなかで三島を舞台にしてみせてくれる。

 このシリーズのなかでも触れたように、クドカンは宮城県北部の男子校出身である。「あまちゃん」の沿岸を走る第三セクターの鉄道に似て、仙台平野を走る栗原電鉄がかつてあった。

 今回のドラマでは、伊豆箱根鉄道駿豆線がモデルの鉄道が、高校生たちの通学路線となって登場する。

 ドラマのなかで、登場人物たちが口走る、1980年代のセクシャルなテーマ専門の雑誌や、ラジオの深夜放送のDJの語り口なども楽しめる。

 そもそも、タイトルの「ごめんね青春!」自体が、かつての青春ドラマの「飛び出せ!青春」のパロディーではないか。

 黒板にチョークで言葉を書き記しながら、教壇から生徒に説く原の「恋愛論」もドラマの魅力になっている。

 「今は誰ともつき合えない」と書き、女性からこういわれたらどういう意味かを、原は問う。生徒たちのまちまちな答えをすべて否定して、次のようにいうのだった。

 「彼氏はいないけれども、お前とはつき合えないという意味だ。女は嫌いな男にすら嫌われたくないから」と。

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