「クドカン・ワールド」のギャグは満載である。
原と蜂矢がそれぞれの生徒を引き連れて、互いの高校に足を踏み入れた瞬間から、観るものはドラマのテンポのよさに引き込まれていく。
原と男子生徒たちは、女生徒たちの反発を受けて散々な目にあう。蜂矢が男子生徒の信頼を一瞬でつかんだ様子は後ほど。
蜂矢は原を問い詰める。
原 軽く口が滑ったでしょうね。(男子生徒がこれまで)女っ気がなかったっていって。
蜂矢 で?!女っ気!女らしいとか、女ざかりとか、いっちゃいけないでしょ!
それと、意味なくニヤニヤしない。
わたしの言葉を繰り返さない。1行無駄でしょ!
原 1行無駄?
蜂矢 ほら!1行。
蜂矢が男子生徒を前にしていった言葉は。
「先にいっておきますけど、わたしは処女です。彼女たち(女生徒)も処女です。神の御怒りに触れずに、純潔を犯せますか?!」
ほろ苦い青春を描きながら、湿っぽくならない
ドラマのひとつの縦糸となっているのは、原の高校時代の秘密である。三島高生だった原は、女学院の蜂矢祐子(波瑠)に思いを寄せる。ふたりが恋に落ちるようにけしかけていた、親友の蔦谷サトシ(永山絢斗)が実は、祐子とつき合っていた。祐子は蜂矢りさの姉である。
夏祭りの夜、女学院の校舎の屋上でサトシと祐子が抱き合うのを、三島高の校舎から原はみつめる。祐子と花火をする約束を取り付けたと思っていた、原はその花火を女学院側に向かって次々に放つ。これが女学院の礼拝堂が燃え尽きる火事の原因となったのである。
クドカンの脚本は、ほろ苦い青春を描きながら、けっして湿っぽくならない。火事の事件がきっかけとなって、女学院を退学した祐子はいまどうしているのか、その恋人の蔦谷は。原は放火の秘密をいつ打ち明けるのか。ふたつの高校の合併は成功するのか。
ドラマの冒頭から巧みにいくつもの伏線を張って、観る者を飽きさせない。