田部康喜のTV読本

2014年10月22日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 「クドカン・ワールド」のギャグは満載である。

 原と蜂矢がそれぞれの生徒を引き連れて、互いの高校に足を踏み入れた瞬間から、観るものはドラマのテンポのよさに引き込まれていく。

 原と男子生徒たちは、女生徒たちの反発を受けて散々な目にあう。蜂矢が男子生徒の信頼を一瞬でつかんだ様子は後ほど。

 蜂矢は原を問い詰める。

原 軽く口が滑ったでしょうね。(男子生徒がこれまで)女っ気がなかったっていって。
蜂矢 で?!女っ気!女らしいとか、女ざかりとか、いっちゃいけないでしょ!
それと、意味なくニヤニヤしない。
わたしの言葉を繰り返さない。1行無駄でしょ!
原 1行無駄?
蜂矢 ほら!1行。

 蜂矢が男子生徒を前にしていった言葉は。

 「先にいっておきますけど、わたしは処女です。彼女たち(女生徒)も処女です。神の御怒りに触れずに、純潔を犯せますか?!」

ほろ苦い青春を描きながら、湿っぽくならない

 ドラマのひとつの縦糸となっているのは、原の高校時代の秘密である。三島高生だった原は、女学院の蜂矢祐子(波瑠)に思いを寄せる。ふたりが恋に落ちるようにけしかけていた、親友の蔦谷サトシ(永山絢斗)が実は、祐子とつき合っていた。祐子は蜂矢りさの姉である。

 夏祭りの夜、女学院の校舎の屋上でサトシと祐子が抱き合うのを、三島高の校舎から原はみつめる。祐子と花火をする約束を取り付けたと思っていた、原はその花火を女学院側に向かって次々に放つ。これが女学院の礼拝堂が燃え尽きる火事の原因となったのである。

 クドカンの脚本は、ほろ苦い青春を描きながら、けっして湿っぽくならない。火事の事件がきっかけとなって、女学院を退学した祐子はいまどうしているのか、その恋人の蔦谷は。原は放火の秘密をいつ打ち明けるのか。ふたつの高校の合併は成功するのか。

 ドラマの冒頭から巧みにいくつもの伏線を張って、観る者を飽きさせない。

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