少なくともこれらの数字だけを見れば、今の日本は10年前よりは安全な国になったと言えるのではないか。
そんな現在の日本を「物騒になった」と感じる理由は、やはりテレビや新聞といったメディアの力に左右されている要素が大きいのかもしれない。その一つの例として、10月11日にyoutubeに配信された「ある動画」を紹介したい。
「デマのニュース映像」はなぜ信じられたのか
10月11日、youtubeに「テレビパン」という動画が公開された。
テレビパン(youtube)
https://www.youtube.com/watch?v=qxFbbfyhYHg
ご覧いただければ分かるのだが、この動画はテレビのニュース番組を模して作られており、一見本物のようなクオリティで「デマのニュース映像」を流している。冒頭部分でその動画がニュース番組ではなく映像作品であることはわかるのだが、もしも途中から見たものなら、本物のニュース番組そっくりに作られたその動画のクオリティに騙される人がいてもおかしくないはずだ。
私が興味深いと思ったのは、この動画の報道内容だ。再生すると、ある男性が警察に捕まっている、よくニュースで見かける光景が映し出されるのだが、テロップには「見た目が怪しいにも関わらず近所を散歩 周辺住民を不安にさせた疑い」と書かれている。実際に「見た目が怪しい」という理由だけで逮捕されることはまずありえないのだろうが、こうしてニュースのようなかたちで取り上げられると、「こんなことでも捕まるんだな。世の中物騒だからな」と納得してしまいそうな説得力がうまれているのが見てとれるはずだ。
ツイッターでは、このテロップが表示された写真が切り抜かれて拡散されたために真に受けてしまった人も少なくなく、「見た目が怪しいと出歩いちゃいけないのか」と憤るツイートも数多く散見されることとなった。
また、この動画に「逮捕された男性の役」で出演していた森翔太さんも、ツイッターで
「親戚の叔父から『逮捕されたの? Twitterで画像が回ってきたぞ』と連絡がきて、飛び起きました。笑ったなあ」
参考:https://twitter.com/morisatoh/status/522222552031039489
とツイートしており、その画像のクオリティの高さから、親戚にまで心配されたことを明かしている。