アジア太平洋安全保障研究センター(APCSS)のホーナン準教授が、戦略国際問題研究所(CSIS)のウェブサイトに11月10日付で掲載された論説で、韓国社会において自国の安全保障にとっての日本の重要性についての理解が欠如していることを嘆いています。
すなわち、数カ月前、安倍総理が「米海兵隊は日本との事前協議なしに韓国に駆けつけることはできない」と国会で答弁したことが韓国で懸念を招いた。半島有事の際の米国の対韓支援を安倍氏が事実上コントロール出来ることを恐れたのである。
日米間の交換公文によれば、在日米軍が日本から行う戦闘作戦行動は事前協議の対象となっている。ここに、日本の重要性があり、韓国が懸念を持つ理由がある。
しかし、韓国が心配する必要は無い。日本の指導者達は自国の安全保障にとっての朝鮮半島の重要性を日清戦争の時代から良く認識しているからである。日本は、過去20年間に亘り、6者協議の枠組みの中で、北朝鮮の非核化に向けて近隣諸国と協力している。日本は一貫して自国の安全が朝鮮半島と連動していると見て来たのである。
韓国がこのような感覚を共有しているかは疑問である。アサン政策研究所の2014年の世論調査によれば、66.8%の韓国人が日本の安全保障面の役割増大に否定的であり、60.6%の韓国人が日本の役割拡大への米国の支持に否定的である。心配なことは、2013年の調査で、日本を韓国への脅威と見做す韓国人が55.9%に達し、中国を脅威と見做すものより4%低いだけであることである。2014年の調査では、79.3%の韓国人が、日米間の安全保障協力が強化される場合には、韓国は中国と安全保障協力を強化する必要があると考えている。韓国の安全保障にとって日本及び日米同盟が果たしている重要な役割を認めるのでなく、日本の潜在的脅威や歴史問題・竹島を巡る紛争にのみ焦点が当てられている。
これは時代遅れの考えである。日本の安全が韓国の安全に懸っているように、韓国の安全も日本の安全に懸かっている。韓国は、日本を重要な戦略的パートナーと見做すべきである、と論じています。