うつ病蔓延時代への処方箋

2014年12月22日

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―― 何がうつ状態の人たちを増やしていると考えられますか。

残間:言葉に対する繊細さ、デリカシーさが失われていることもあるのではないでしょうか。人の気持ちを忖度(そんたく)する、斟酌(しんしゃく)することはとても大切なことです。笑顔で話す相手のどこかに、ほんの少しの暗さを感じとるようなセンサーを現代人は持ち合わせていないような気がします。コミュニケーション手段が便利で豊富になったことが大きいかもしれません。人の生の声にある微妙な変化は機械を経由してでは分かりにくい。

 うつ病が世の中に認知されてきたこともあり、悩んでいる人には少し楽になってきていると思いますが、精神的な世界というか、うつ病の領域だけで要因を判断し片づけられてしまうのは、違うような気がしてなりません。社会全体の流れの中にある歪みたいなものが複合している。そのひとつに意志疎通の変化があると思います。

「駄目で元々」が重要な要素

―― 本のテーマを「閉じる」とした背景には、どのような想いが詰め込まれているのでしょうか。

『閉じる幸せ』(残間 里江子 著、岩波書店)

残間:年齢を経ることで知識、経験を積み重ねている半面、劣化することがあります。これは仕方ないことで自覚せざるを得ません。だから、いつまでも同じことを続けていてはいけないという想いと、前述したように日本中が鈍感化している状態に対し、収れんというと格好良いのですが、収束ぐらいのことは考えてみようという気持ちがありました。

 世の中、開きっぱなしの人が多すぎて、それは全開しているようで実は自分を隠しているような気がします。大笑いをして自分をさらけ出しているように見えて、本当の自分を表現していない。本当のことを言ったら、どこからか石が飛んでくるかもしれないような気がするのでしょうか。何でも言いやすいようで、言いにくく、息苦しいような管理されている社会情勢を感じてなりません。そのような中で、自分自身をさらけ出し、これまで何度も「閉じる」ことで次へ挑戦してきた生き方を伝えてみたかったのです。

 私は「駄目で元々、雨、アラレ」というブログを毎日欠かさず更新しています。現在はタイトルを「波乱万丈、雨、アラレ」(http://www.club-willbe.jp/zamma2/)に変更していますが、「駄目で元々」の語句は私の中で重要な要素です。これを若い人に言うと「ダメなことは駄目なんです」と切り返されます。トライさせてくれなかった偏差値教育の弊害かもしれません。

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