対談

2015年2月19日

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飯田:まずはある程度まで富裕な層を中心に、故郷か、または好きな街で老後を過ごすというスタイルを定着させるということですね。メディアで作られたイメージでは農村移住がありますね。

増田:田園回帰ですね。

飯田泰之氏

飯田:しかしあのイメージも少し違和感が拭えません。そもそも、これからの60代の方の多くは農家出身者ではありません。

増田:実際にやってみると畑仕事はたやすいものじゃないから、2、3年で東京に戻ってきてしまう人も多いようですね。沖縄県に移住した人も、5年経つと半数が戻ってくるというデータもあります。理想と現実のズレが大きい。

飯田:長野県松本市に行ったときに立派なマンションがいくつか建っていて、どういう人が買っているのかと尋ねると、長野県出身で東京で就職した人たちが中心なのだそうです。とはいえまだまだ一括でマンションを買えるような階層に限定の話ですが、実際の郷里は松本周辺の小さい村だったりしても、少しでも故郷の香りがする場所に住みたい、と移り住む人たちもいるようでした。だからきっかけさえあれば、老後移住はもう少し幅をもった動きになりうると思います。

増田:松本市は生活の利便性や医療インフラなどの安心もあり、上高地のような自然にも恵まれている。さらにサイトウ・キネン・フェスティバルのような文化事業もさかんで、街の魅力があるのでしょうね。文化の香りは重要な要素になるでしょう。

 高層マンションよりももっと松本らしい住まいで暮らせればなお良いのでしょうが、セキュリティもしっかりしていて、なにより雪かきをしなくていいマンションはやはり便利でしょうね。盛岡市でも市内ではマンションがどんどん増えています。

人が集まるメリットと暮らしやすさの共存

飯田:人口40万人いれば、というのはまったく同感でして、それくらいの規模があれば大きな病院と、国公立大学、ある程度の規模の私立大学がそれぞれ一校ずつくらいは持つことができます。この線で都市はだいぶ変わってきます。

 一方で、大卒者にとって魅力的な職種を用意できるかどうかという課題は残ります。

増田:さきほども申し上げましたが、とくに女性向けの仕事は難しいですね。

飯田:大学のゼミ生にもまず、地元に帰りたいかどうかを尋ねます。「帰りたい」と答えた女子学生には、まずは公務員試験の勉強を始めてください、と言っています。正直言いまして、公務員や公的な仕事、あとは金融しか思いつかない。

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