対談

2015年2月19日

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飯田:介護ビジネスのお話もありましたが、子育ても20万~30万人規模の都市がもっともその両立のプランが立てやすいでしょう。

増田:東京ほど過密な都市での子育ては過酷です。

 内閣府の「選択する未来」委員会が過去の統計をもとに市区町村ごとの人口と経済の関係を調べていますが(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/)、やはり20~30万人規模の都市は経済がそれなりに回っています。人口指標と経済には相関がある。

飯田:アジア圏には超過密都市がいくつかあり、2300万人の総人口の約7割が5都(台北市、新北市、台中市、台南市、高雄市)と桃園県に集中している台湾が象徴的ですが、出生率は明らかに下がります。

増田:2013年の合計特殊出生率が1.065まで下がって、もはや1を切るのではないかといわれていますね。2010~2015年の推計年間平均出生率で見れば、韓国も1.3でマカオ、香港に次いで3番目に低いことで話題になっていました。

飯田:日本は団塊ジュニア世代最後の出産時期だったので少し上がりましたが、これはすぐに落ちていくので、実勢はほぼ同じでしょう。私はソウル以外出身の韓国の方にほぼ会ったことがないですし、台湾も台北市以外の人の会うことがほとんどありません。

増田:とくに日本に来る人となると層が限られることもあるでしょうが、適度に集積した地方都市がもっとできない限り、日本でも出生率の改善は難しいでしょう。

「私たちはイオンに行きます」

飯田:地方中核市の魅力を高めていくための方策として、この本ではコンパクトシティの議論もされています。コンパクトシティには行政効率を高めるという目先の利益もありますが、それよりもここまでお話した産業や雇用、生活の面からも、たとえば30万人なら30万人なりの集積地が市内に必要ではないかと思います。現状、全国の都市ではコンパクトシティ構想は進んでいるのでしょうか?

増田:最近しばしば指摘されるように、青森市や秋田市で行われている中核商業施設を軸にしたコンパクトシティ化はあまりうまくいっていません。日本での代表例はLRT(次世代型路面電車)を軸にした富山市の事例で、森雅志市長も、用地買収などの合意形成に苦労しているようですが、随分頑張っておられます。

 コンパクトシティは合意形成を重視して、長い時間をかけて取り組まなければなりません。とくに市街地周辺部に住んでいる人は危機感や抵抗感を覚えますから、行政側の担当者はローテーションさせずに一人の人にずっと務めさせるといった覚悟が必要です。

 富山の事例はLRTのみならず、国のいろいろな政策が集まって推進されています。それは幸運だったというよりも、引き寄せた市長の腕を褒めたたえるべきで、ほかの都市で富山を真似しようとしてもできないほどの行政投資が行われています。

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