世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年3月6日

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 軸足移動政策は期待に添わず、言葉と行動の不一致は疑念を呼び起こした。しかし、もし米国がはっきり発言し、同盟国とともに大きな棒を持てば、アジアの平和は維持できる、と論じています。

出典:Michael Mazza ‘US in the Asia-Pacific: Towards a more effective Asia strategy’(American Enterprise Institute, January 30, 2015)
http://www.aei.org/publication/u-s-asia-pacific-towards-effective-asia-strategy/

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 この論説は対中国への姿勢をよりはっきりさせ、率直な物言いをすべきで、具体的には、潜水艦で中国の周りにピケ線を張ることと、海洋情勢把握の強化を提案しています。

 中国に対しはっきりと我が方の懸念を伝達すべきであるという意見には賛成です。それをしていないと、誤解が生じる恐れが大きくなります。多少のギクシャクは覚悟して、こちらの懸念を言っておく方がよいでしょう。

 具体的提案のところについては、日本が台湾に蒼龍級潜水艦を売却することは、将来的課題としては検討の価値がありますが、当面は考え難いことでしょう。米国が台湾に武器を売却するのは、台湾関係法があるからです。

 ただ、潜水艦ピケ線のようなものができるのは、いいことでしょう。ただし3海峡封鎖論がソ連を強く刺激したように、中国、ロシアの反発が相当なものになることは覚悟をする必要があります。

 南シナ海での海洋情勢把握についてネットワークを作るとの提案は良い提案です。時間をかけて進めればよいのではないでしょうか。

 この2提案以外にもアジア地域では色々とやることがあります。今後も知恵を出していくべきでしょう。

 マッザは米国のアジアへの軸足移動にアジアの多くの人が言葉と行動が一致していないなどとして疑念を持っていると強調しています。米国のアジア軸足移動は歓迎すべきことです。米国の注意がISILの問題やウクライナ問題に向けられること、そして、予算の強制削減は、アジアへの軸足移動の実態面で障害になる話ではあります。しかし、こういう問題があっても、アジアリバランス政策を米国は維持しようとしているのであり、日本としては、その政策に疑念を表明するより、諸事情を理解し、アジア重視政策の実現を期待していくのが賢明でしょう。

  
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