中国メディアは何を報じているか

2015年3月9日

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佐々木智弘 (ささき・のりひろ)

防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

 この記事から、環境保護政策を主管する中央官庁の環境保護部が地方の臨沂市政府と承徳市政府と「約談」を行ったことをメディアに通報した点、そしてメディアにその模様を公開するという「公開約談」であった点に注目すべきだろう。

 しかしこの記事は環境汚染の状況や「約談」の様子を具体的に紹介しているわけではない。そこで次にもう少し詳しく状況を伝えた中央テレビの番組「焦点訪談」から見ておきたい。

議事録への市長のサインも放送
中央テレビ「焦点訪談」はどう伝えたか

 公式メディアである中央テレビで3月1日に放映された「焦点訪談」とニュース解説番組がこの「約談」を次のように取り上げた。

環境保護部は臨沂市での事前調査で次のことを把握していた。

(1)煙塵や排気ガスの垂れ流しだけでなく、処理して初めて使うことのできるコークス炉廃水(熱分解処理を行ったときの残渣の水)さえも、結局はいかなる処理も経ずにずっと循環使用していた。

(2)鋼鉄公司で、2014年2月以来オンラインでの監視測定設備が正常に機能していないのに、現場の検査時の取り込み口での二酸化硫黄の濃度が1立方メートル当たり5ミリグラムで、排出口では0(ゼロ)だった。

(3)15社のうち13社で、認可を経ずに工場を建設し、排水の垂れ流し、漏れなどの環境違法行為が発見された。

2月25日の約談では高主任が「もし環境問題を重視しなければ、この状況は非常にひどくなる」として、厳格な環境保護の導入を含め、あらゆる新築、改築、増築プロジェクトは環境への影響評価を行わなければならないことなど6項目の要求を提起し、6月4日までに環境保護部に実施状況を報告するよう求めた。

これに対し趙市長は「このような約談を受けることに私の心は非常に重い。同時に私の決心は非常に大きい。もう二度と約談は受けない」との決意表明を行い、議事録にサインをした。

環境保護部は承徳市での事前調査で、オゾン以外に、2014年のPM10 、PM2.5、二酸化硫黄、二酸化窒素、一酸化炭素の5項目の平均濃度が2013年に比べそれぞれ、6.7%、6.1%、8.1%、11.4%、7.8%と上昇したことを把握した上で、2月26日の約談が開かれた。

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