世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年5月11日

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 Greatfire.org側は、Great FirewallはCACか担当大臣の許可がなければ使えないから3月の攻撃を指揮したのはCACだ、と言っている。もっともこれを証明するのは難しい。しかし、重要なインターネット・インフラがいかにして「犯罪者によって危うくされるのを許してしまったのか」について、CACは説明責任を果たそうとしていない、と報じています。

出典:‘Great walls of fire’(Economist, April 4-10, 2015)
http://www.economist.com/news/china/21647656-wave-internet-attacks-points-attempt-hobble-foreign-websites-great-walls-fire

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 中国はこれまで、指導者の親族の資産状況に関するなど、中国に都合の悪いオンラインの情報の流入をGreat Firewallなどで阻止しようとしてきましたが、最近になって、このような受け身の措置のみならず、米国など外国のインターネット会社に対して中国当局の反対するコンテンツを除去させるためのサイバー攻撃を始めているようです。インターネットの管理・規制について、受け身の姿勢にとどまらず攻撃的姿勢に転じつつあることは、大きな質的変化と言えます。

 エコノミストが指摘する通り、こうしたことは既存のオンラインの秩序に対する中国の挑戦です。中国のような独裁国家にとって、情報の管理は政権の維持に必要不可欠なことです。オンラインの情報は瞬時に至るところに伝達されるのが特徴で、従来の情報に比べ管理が著しく困難であるだけに、中国はオンライン情報の流入を最も恐れており、その管理の強化に全力を挙げています。

 中国は、昨年あたりからオンライン主権を強調し始めていますが、中国の言うオンライン国家主義とは、どの情報の流入を認めるかは国が決めるということであり、情報の本質になじまないものです。特にオンライン情報は、自由闊達な情報の流れが特色であり、それを国境で規制しようとするのはオンライン情報の否定といっても過言ではありません。独裁政治と情報の自由は相反するものであり、オンライン主権は、中国にとっては当然の帰結でしょうが、他国にその尊重を求めるというのは無理であり、特にサイバー攻撃によって尊重を強要しようとするのは論外です。

 中国のような独裁国家と欧米、日本のような自由、民主主義国家の間で共通の行動規範を設けることは容易ではありませんが、特に情報に関してはまず不可能です。中国が提唱するオンライン主権に対しては、西側が結束して異を唱えていく必要があります。

  
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