美食家であり、書や篆刻(てんこく)、陶芸など多彩な創作活動で知られる稀代の芸術家、北大路魯山人。没後50余年を経た今でも、美食の道を極めた魯山人の世界観に学ぶものは少なくない。料理と器の関係をテーマに、魯山人の美の世界を紹介する展覧会が開かれる。
会場には、書家、篆刻家としての魯山人の初期の作品から、星岡茶寮(ほしがおかさりょう)を開き本格的な料亭経営を機に生まれた、独創的な器の数々までそろい、その精力的な創作の軌跡をたどることができる。
「料理を盛ることで器は完成する」という魯山人の美学が集約された、ゆったりと湾曲した俎板(まないた)状の器「織部(おりべ)俎板盤」や、紅白の椿や緑の葉を大らかなタッチで描いた桃山風の鉢「色絵金彩椿文鉢(いろえきんさいつばきもんはち)」など、古磁器からの着想に遊び心が加わった器は、まさに魯山人の有名な言葉「器は料理の着物」を思い起こさせる。
昭和24年(1949) 京都国立近代美術館蔵
魯山人が料亭経営で目指した、しつらい、料理、器、もてなしの精神といった美の世界を現代の写真家が再現、料亭の映像などのインスタレーションも見逃せない。ユネスコの無形文化遺産に「和食」が登録され、世界的に注目が集まるなか、和食文化について、改めて考える格好の機会となるはずだ。
北大路魯山人の美 和食の天才
<期間>6月19日~8月16日
<会場>京都市左京区・京都国立近代美術館(市営地下鉄東西線東山駅下車)
<問>☎075(761)4111
http://kitaoji-rosanjin.jp/wordpress-kitaoji/
*情報は2015年4月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください
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