2024年11月22日(金)

ルポ・少年院の子どもたち

2015年7月22日

 一度にこれだけ多数の外部講師が参加できるようになったのは、本年6月に施行された少年院法の改正によるところが大きい。

 本交流マッチの内容は、生活を共にする学寮が一つのチームとなってリーグ戦を行い、優勝したチームが外部講師と対戦するという全体で約3時間のプログラムになっている。

 趣旨は、タグラグビー競技を通して地域の企業経営者などが少年院の在院者と直接交流することによって、地域社会が少年院の理解を深めると同時に、少年たちの更生意欲を深める機会とすることにある。

 少年たちにとってはモデルとなる健全な社会人に接すると同時に、地域社会との繋がりが生まれる貴重な機会となるはずだ。

 人は何かに夢中になると隠しようのない内面を見せることがある。それはスポーツが得意とか不得意とは別に、チームメイトや対戦相手との接し方や声の掛け方、勝ち負け、ルールや審判に対する姿勢などに垣間見ることができる。

 外部講師はこうした様々な表情を見せる少年たちと約3時間接するのである。

 この活動が目指すものは、少年院を出院した人を雇用し、社会的立ち直りを助ける「協力雇用主」を増やすことにある。

 「協力雇用主」とは、犯罪や非行の前歴のため定職に就くことが容易でない事情を理解した上で雇用し、改善や更生に協力する民間の事業主で、時には親代わりとして出院後の円滑な社会復帰を支える存在でもある。

 そして何よりも就労が再犯防止につながることから、「協力雇用主」が必要だと考えられる。(成人も含め、無職の場合の再犯率は有職者の約4倍という法務省の統計がある)

 しかし、社会的必要性は理解できるにしても、実際雇用するには基礎学力や仕事の適性、企業内部の理解など様々なハードルがあることも想像に難くない。


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