2024年12月24日(火)

今月の旅指南

2015年7月24日

 京都・錦小路の青物問屋に長男として生まれた伊藤若沖(じゃくちゅう)が、家督を譲り画業に専念したのは40歳のころ。そのとき絵師としての才能を見抜き、支援者となったのが、相国寺(しょうこくじ)住持の大典(たいてん)禅師だった。

 数えで若冲生誕300年となる今年は、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)が洛北に芸術村を創設したことに由来する、琳派誕生400年の節目でもあることから、若冲と琳派をテーマとした展覧会が、若冲と縁深い相国寺承天閣(じょうてんかく)美術館で開催されている。

 展示作品をみると、若冲の「郡鶏蔬菜図押絵貼屏風(ぐんけいそさいずおしえばりびょうぶ)」や、尾形乾山(けんざん)の「色絵龍田川透かし鉢」、本阿弥光悦の「赤楽茶碗 加賀」(重要文化財)など、相国寺、鹿苑寺(ろくおんじ)、慈照寺(じしょうじ)に伝わる名品がずらりと並んでいる。なかでも見逃せないのが、若冲が44歳のころに描いた鹿苑寺大書院旧障壁画で、「葡萄小禽図襖絵(ぶどうしょうきんずふすまえ)」「菊鶏図襖絵(きくけいずふすまえ)」など、いずれも重要文化財に指定されている9件50面すべてを展観できる。

重要文化財 俵屋宗達筆 烏丸光広賛《蔦の細道図屏風》
六曲一双 相国寺蔵

 また、俵屋宗達の「蔦(つた)の細道図屏風」(重要文化財)は、左隻と右隻を入れ替えても絵がぴったり合うように描かれた、遊び心を秘めた作品だ。特別企画として、現在は、上の写真と違い、右隻と左隻を逆にした展示になっている。こちらの展示もぜひ見てみたい。

伊藤若冲と琳派の世界
<期間>2015年4月4日~9月23日
<会場>京都市上京区・相国寺承天閣美術館(市営地下鉄烏丸線今出川駅下車)
<問>☎075(241)0423
http://www.shokoku-ji.jp/j_now.html

*情報は2015年6月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2015年8月号より


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