2024年3月3日(日)

ブルキナファソ見聞録

2015年7月17日

 「経済的に自立した女性、とはどういう女性か」 

 今年に入って、西アフリカの女性企業家と日本の女性企業家の交流・経験共有を目的とした機会が日本で設けられ、ブルキナファソからはドライマンゴーの製造会社を経営する女性トゥーレ氏と、女性地位向上・ジェンダー省(以下、女性省)の担当者を日本へ送り出した。4月に、その報告会を兼ねて女性企業家(実際には企業ではなく経済活動を行う女性組合の代表者が多くを占めた)を集めた意見交換会を開催した際に、「政府は女性の経済的自立を推進している」との説明が女性省からあり、参加者から、政府が目指す「女性の経済的自立」の定義は何か、という質問が出た。

 「世界に様々な定義がありますが、「ニーズに合わせて、女性それぞれが雇用・サービス・収入創出といった経済的な手段やリソースにアクセスできること、選択できること、それから、社会経済に女性が影響をもたらすような活躍ができること」です。手法も様々あると思いますが、ブルキナの実情を踏まえながら、この達成を目指したい」というのが女性省の回答だった。 

 意見交換会の参加者の中には、残念ながら、政府は何をしてくれるのか、援助機関は何をしてくれるのか、という発言も多く、支援がないから自分達は事業を大きくしていけないのだという主張があったが、日本へ行ったトゥーレ氏の話を聞いて、こういう人の話をもっと聞く機会が欲しい、と前向きなヒントを得ようとする姿勢も見られた。

ドライマンゴーを生産するトゥーレ氏

 ブルキナファソで正規の手続きに基づいて設立された企業のうち、女性によるものは全体の9%と言われている。企業設立の申請が女性によってなされる割合は少しずつ増えているようであるし、女性省にも女性企業家促進総局が設置されており全面的な支援策を模索しているため、今後さらに多くの女性が起業を目指していくものと思われる。

 日本へ送り出す準備段階からトゥーレ氏とやり取りを重ねていたが、日本での経験がとても刺激的だったようで帰国してからさらに連絡を取る機会が増え、個人的にも情報交換をするようになった。

 今、ブルキナファソはマンゴーの季節であると同時に、ドライマンゴーの季節でもあるので、彼女の工場はフル稼働している。様々な品種が存在するブルキナファソでは、2月〜8月までとマンゴーシーズンがかなり長く、100円もしない価格で売られており、マンゴーの産地へ行けば、100円〜200円でバケツ一杯買うことができる。

 中でも種類が豊富になるのは4月以降だが、この時期から8月まではドライマンゴーの製造もさかんに行われており、彼女も今シーズンの製造を始めた4月下旬から、週7日、今も休みなく製造ラインを動かしている。

ドライマンゴー

 現在55歳になる彼女は、39歳の時に、6名の従業員とともに1トンのドライマンゴーを作ることからスタートした。

 初年度にすべて売り切ったことが自信になり、同時にニーズの高さを実感したことで事業を継続し、現在は、約80名の従業員(シーズン時のみの臨時雇用が多い)を抱え、製造量は25トンにまでなっている。創業16年で実に25倍の製造量へと成長させているのだ。

 大学では国際法を学んでいたので農業や加工業の経験があった訳ではないが、結婚後、夫についてフランスで過ごした後に帰国し、97年にスイスのNGOがワガドゥグで実施した農業関連の研修を受けた際に、ドライマンゴーの可能性について知り、興味を持ったという。

 元々ドライマンゴーが好きだったから、とは言うものの、研修を1度受けただけで事業化しようと思う気持ちはどこから湧いてくるのだろうと思ったら、フランスにいた時には、「1年だけだったけど国際法の博士課程に通っていた」と言い、家でじっとしているのも性に合わないから、とどうやら色んなことに積極的なタイプらしい。3人の子育てをしながら96年に仕事探しを開始し、97年に上述の研修でドライマンゴー事業に出会い、98年には資金探しを始めて、99年に最初の製造を開始した、という着実なステップアップを実現してきた方である。まだ子供が小さい時にこれだけの行動に移せるだろうかと考えると、同じ働く女性として頭が下がる。


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