2024年11月21日(木)

Wedge REPORT

2015年8月10日


  全国の工場を一軒一軒めぐって、パートナー探しを行う山田さん。現地現物、どんなことでも、まず自分の目で確かめるのが信条で、今回も日本のキャラクター商品などを海外に販売する「東京オタクモード」を訪ね、どのような手法で行っているのかヒアリングを行ったという。「最初はそれなりにコストがかかりますが、ここをしっかりしておかないと、後になってトラブルが多いから止めておこうということになりがちだそうです」。

 9月24日からは、タイ・バンコクの伊勢丹にも期間限定で出店する。これも「アジアのユーザーがどのようなニーズを持っているのか、実際に確かめてみたい」という思いから決めたという。

地場デパートとタッグを組む アパレルの地産地消

  海外展開を進める一方で、「地産地消のアパレル」という新しいコンセプトを実現するべく動いている。ジーンズの生産量が日本一多い岡山県は、アパレル工場が多い。ファクトリエのジーンズ、チノパン、帆布製鞄なども岡山県の工場で作られている。


  地方のアパレル工場と協業していくというファクトリエの取り組みに関心を持って、地場のデパートから出店依頼がくることが多い。岡山県の地場デパート「天満屋」もその一つ。しかし、店舗を出せば、その分コストが増え、ファクトリエのビジネスモデルには合わない。

 そこで山田さんが提案しているのが、アパレルの地産地消だ。これまで築き上げたアパレル工場と地場デパートをつなぐことで、地域のデパートでしか買うことのできない製品を販売する。食品や農産物と同じように、地域で作られた洋服を地域の人たちが使用するというコンセプトだ。

 マクロで見ると地方の人口は衰退し、東京の一極集中は進んでいるように見えるが、「地方には、平日でも予約をとることが難しいレストランがあったり、若者で賑わったりする場所があります」。

 ミクロに見ていくと、良い部分が少なくないことが分かる。東京をフォローしたり、外から人を呼びよせたりすることではなく、まずは内側の、地域の人たちのなかで消費して楽しむ。

 「360度に向けて発信していこうとすれば大変ですが、10度だけ、20度だけならまだ何とかなると思うんです」と、山田さん。「アパレルの地産地消」の動きも注目だ。

  
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