画一でない展示会
IFAの会場は、いろいろな意味で賑やかです。裏の方では、B to B、B to Cのビジネスが行われているのですが、表の方では小さい子が生ジュース飲むのに並んだり、ステージ上のショーに見入ったりしています。若いカップルは、食器洗い機と洗濯機の品定め。IFAの会場は広いですからね。ただ並べるだけでなく、使用可能なコーナーもあれば、ショールームのようにリビングなどにセットされた状態展示もあります。
ここは日本の量販店と異なります。またB to Bの商談にもいろいろ便利です。その上、中庭には屋台が並び、コンサートも行われています。さらに、アクセスがイイです。ベルリン市内なら、30〜40分位で到着します。要するに、IFAはカテゴリーを増やし、多様性を実現させ、エンターティメント性も上げ、展示会が果たすべき役割を続けているわけです。
良質な情報をユーザーに示すことが、常に必要
今回、ソニー、東芝などがCEATECに出展していません。実はこれ、非常に損だと思います。よく「ユーザーとの絆」とメーカーは言います。ところが、ネットである程度詳しい情報が流せるようになると、お金が掛かる絆はガンガン切られていきます。展示会もそうですね。
しかも日本は量販店で本物を確認することができます。しかし、展示会ならではの、見世物もあります。「熱意」と「誠意」です。具体的には、社員による懇切丁寧な対応と説明です。これはネットでもできませんし、量販店でもできません。
また、未来像の提示も可能です。言葉という曖昧なモノでなく、ビジュアルで見せるわけです。会場来場者が関心を持ってくれたなら、株主も関心を持ってくれます。しかし、今回のCEATECで目立ったのは、半端な情報と提示です。日本で、B to Cが厳しいと言います。しかし、本当にそうなのでしょうか?
「絆」「絆」と言いながら、切っていませんか?
確かに「絆」ができる展示は難しいです。だからこそ、クリアできた時の展示会は盛り上がります。一度に顧客獲得もあり得ます。第一、展示会は「好奇心を持ったユーザー」が集まるのですよ。そのためには、質を下げないことがポイントになります。「行って得したなぁ」と思ってもらえる展示。それを目指さないと、数年後、CEATECの開催は厳しいかも知れません。
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