後半はアベノミクスの息切れ感が明確に
ただし、その後はアベノミクスの息切れ感が明確になるとともに相場は消費増税による2017年度の景気低迷を警戒して下げに転じるだろう。もうひとつの大きな日本株の売り要因は為替が円高になるというリスクだ。これまでのドル高・円安シナリオが反転する。これまでのドル高・円安シナリオとは、
米国:景気が良い ⇒ FRBは利上げ
日本:デフレ脱却取り組み続く ⇒ 日銀は異次元緩和継続
というものだったが、そのシナリオは完全にやり尽くした感がある。2016年は、
米国: FRBは利上げしたものの、そのペースは緩慢
日本:日銀のQQEもトーンダウンもしくは打ち止め感
という新たなシナリオを確認していくことになるだろう。当然、これまでと逆の動き、すなわちドル安円高となるだろう。原油価格も相当下げた。予断は許さないが、来年は横ばいから反発する可能性も十分ある。
日本企業の好業績は円安・原油安の恩恵に負っているところがかなりあり、それが剥落すれば来期の業績は相当見劣りがするものとなろう。
このように年後半は、1)消費増税による景気減速に対する警戒感、2)有益な政策が打ち出されないことでアベノミクスに対する失望感の高まり、3)円高リスク、4)原油相場の反発、5)3と4を受けた企業業績の悪化などのリスクが顕在化する可能性がある。
2016年の日本株式相場は高値での売り時を探ることが最大の焦点と思われ、それはおそらく年前半にやってくると想定している。
相場の波乱材料とリスクシナリオをいくつか挙げておく。
まず、日銀の追加緩和が発動されても市場で評価されないリスク。黒田バズーカ3で打ち止め感が出て相場が上昇しても短命に終わる可能性がある。その場合、年前半の相場上昇の天井は低くなるだろう。2015年高値に顔合わせ程度か。
反対にポジティブ・シナリオは消費増税の再延期(もしくは9%にしか引き上げない)。先ごろまとまった来年度予算案を見ても、社会保障費の膨張によって一向に歯止めがかからない財政の悪化という観点からは、とても「ポジティブ・シナリオ」とは言えないが、ショートターミズム志向の強い市場関係者には、2017年度の景気低迷が避けられるという点で、歓迎されるだろう。
その場合は、国民に信を問うという口実で衆院解散があり得る。参院選とのW選挙はないというのが政治評論家のコンセンサスだが、W選はなくとも年内にはやるかもしれない。時期は12月という見立てがあるが筆者も同意する。安倍政権は2012年12月の総選挙で誕生し、消費増税を見送ると言って2014年も解散、12月に総選挙で再び勝った。長期政権を狙うなら、2度あることは3度あると2016年師走の総選挙もあり得る。おそらく与党は勝つだろう。勝ち方にもよるが、やはり相場は政治の安定を好感して年末高というリアクションになるだろう。これが、メインシナリオの年後半下落予想に反する、アップサイド(上振れ)シナリオだ。