12月16日、オバマ政権は4年ぶりとなる台湾への武器売却計画を発表。中国側は直ちに抗議をしましたが、12月24日付ニューヨークタイムズ紙社説は、売却内容はさして目くじらを立てるほどのものでないとして、次期民進党政権との間で建設的関係の構築に力を入れるべきだ、と述べています。
台湾を大きく凌ぐ中国の軍事力
オバマ政権が台湾に対する約18億ドルの武器売却計画を発表したことにつき、中国は予想通り騒々しく不満を訴えている。鄭沢光外交部副部長は、米国は米中共同コミュニケを破っただけでなく、中国の主権と安全保障にダメージを与えた、と言っている。
だが、中国の訴えは大げさである。長らく、米国は台湾に武器を売却してきたし、今回の売却も控えめで驚くにあたらない。より重要なのは、中国の軍事力は台湾のそれを大きく凌いでいるということである。
今回の売却パッケージには、2隻のフリゲート(オリバー・ハザード・ペリー級)、対戦車ミサイル、機雷掃海用戦闘システム、水陸両用車、通信システムが含まれている。米国からの武器売却は2011年以来となり、これで計140億ドルの兵器が売却されたことになるが、そこには中国を間違いなく怒らせることになるであろう、新型のF-16(C/D)や潜水艦は含まれていない。
もし中国が空爆や侵攻を決断すれば、台湾はそれを撃退できない。それほどまでに中国は自身の軍事能力を向上させている。そうした中、米国の武器供与は、中国に米国と直接対峙する可能性につき、再考を促す材料になっている。
中国は、武器売却に関わる米企業と取引しないと脅しをかけているが、そもそも米防衛産業は中国への武器売却を禁じられているので、その脅しがどこまで効果があるかは不明である。
今回の武器売却は、台湾総統選の1ヶ月前という時期に公表された。次期総統選では、中国と距離をとる民進党が勝利すると目されていた。民進党の呉秘書長は、武器売却を歓迎し、台湾の強固な防衛力が中国との関係拡大に更なる自信をもたらすと述べている。
中国は、両社会の平和と繁栄に寄与するよう、台湾との建設的関係を築くことに注力すべきである、と主張しています。
出典:‘China’s Tantrum on Taiwan Arms Deal’(New York Times, December 24, 2015)
http://www.nytimes.com/2015/12/24/opinion/chinas-tantrum-on-taiwan-arms-deal.html?_r=0
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