世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年1月28日

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武器売却は中台軍事バランスに影響を与えるのか

 今回の米国の対台湾武器売却計画の発表に関する中国の抗議が大げさであるというのは、社説の言うとおりでしょう。

 まず、米国は馬英九政権にすでに3回も武器を売却しています。その上、売却武器に新型のF-16(C/D)や潜水艦といった攻撃性の高い武器は含まれていません。

 中国と台湾の軍事バランスは、中国の着実な軍事力強化で近年急速に中国に傾いています。中国は数分のうちに台湾の目標に照準を合わせることのできる弾道ミサイルを2,000基近く保有しています。また、対艦弾道ミサイル、衛星攻撃兵器、最新のジェット戦闘機、攻撃型潜水艦など、米国の接近を阻止する兵器を増やしています。台湾の国防部は10月、2020年までに中国が米国の干渉をはねのけて台湾を侵攻する能力を持つであろうとの公式見解を発表しました。

 今回の武器売却は、このような中台間の軍事バランスに影響を与えるものではありません。それにもかかわらず中国が抗議したのは、原則の問題であるとともに、米国が攻撃性の高い武器を台湾に売却することを牽制する狙いがあったものとみられます。

 米国が、台湾の中国に対する軍事力の強化にさして貢献しないレベルの武器の売却をしたのは、いざという場合の米国の台湾防衛へのコミットメントを再確認するという意思表明であったと考えられます。それは、中国に台湾の武力解放を躊躇させるという意味で、台湾にとっても意義のあることです。

  
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