昨年12月20日、スペイン総選挙が行われ、即日投開票(73・2%)の結果、マリアノ・ラホイ首相率いる国民党(PP)が得票率28・7%で123議席(定数350議席)を獲得し、第1党を堅守した。第2党は、ペドロ・サンチェス書記長の野党・社会労働党(PSOE)で、同22%で90議席と伸び悩んだ。しかし、総選挙から1カ月以上が経った現在でも、政権発足の兆しは見えず、6月まで無政府状態となる可能性が出てきた。
ラホイ暫定首相は、総選挙後、「結果はわれわれの勝利で、安定した政府を引っ張るのは国民党が望ましい」と続投への意欲を示した。だが、そのためには、民主主義政治始まって以来、初めてとなる連立政権を強いられることになりそうだ。
2大政党体制の限界
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スペインは、1976年のフランコ独裁政権倒壊以降、PPとPSOEによる2大政党間の綱引きが続いた。アスナル元首相が政権に就いた96年を除き、合計11回行われた総選挙では、PPかPSOEいずれかの政党が過半数議席を勝ち取り、政権を握るのが伝統とされてきた。
だが08年、スペインのバブルが崩壊し、11年に世界金融・経済危機が訪れると、2大政党体制の限界が囁かれるようになった。
史上最悪と呼ばれた経済危機の頃、スペインは失業率が24%、特に16〜24歳までの若年層失業率は53%に達するという深刻な状況が発生した。職もなく家賃も払えない人々が相次ぎ、警察から立ち退きを強いられる家族も続出。町中ではホームレスが目立ち、売春行為を働く大学生や、ドイツやイギリスに出稼ぎに行くスペイン人が急増した。
同国紙ラバングアルディアのセレステ・ロペス政治記者は昨年5月、経済危機以降の打撃をこう分析していた。