2024年11月22日(金)

世界の記述

2016年1月28日

 「経済は回復してきたが、数年先の未来を若者たちは期待していない。政治家、企業、銀行を信用していないからだ。彼らは、将来、両親よりも低い収入を稼ぎ、退職後の生活は楽しくならないことを知っている」

 なぜ、若者たちは、生活に対する希望や意欲を失ってしまったのか。それは、約40年間に亘って続いてきた2大政党による腐敗・汚職政治で、社会の改善は望めないと信じていたからだった。

新興2政党の登場

 生きる力を失いかけていた国民を前に息を吹き込んだのが、反緊縮を掲げる左派ポデモスと、改革路線を提唱する中道シウダダノスの新興2政党だった。

 「我々は可能」を意味するポデモスは今回の総選挙で、69議席を獲得し、第3党に躍り出た。14年1月に結党したばかりの政党が、わずか2年足らずの間に、左派諸政党とPSOE支持者の票を一気にかき集めたのだ。

 パブロ・イグレシアス党首は、腐敗した社会から市民権を取り戻すことや、カタルーニャ独立を推進するなど、不可能を可能に変える政策を打ち出した。

 一方、「市民」を名乗るシウダダノスのアルベール・リベラ党首は、自らがカタルーニャ出身だが、独立に断固反対し、統一スペインの理念を主張し続けた。弱冠36歳の党首は、2大政党の汚職政治を一掃させ、改革路線を公約してきたが、議席数が40と予想を大きく下回った。

 ポデモスとシウダダノスの新興2政党が生まれ、政権発足が遅延する中、以下3つの連立が最大候補に挙っている。

 1)PPとPSOE

 2)PPとPSOEとシウダダノス

 3)PSOEとポデモスとシウダダノス

 しかし、1)と2)においては、長年の宿敵同士の連立はあり得ないとし、政党内部や国民の批判が相次いでいる。PSOE内では、サンチェス党首の辞任さえ求める声も上がった。


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