世界のアクションカメラ市場の規模は2000万台へ
世界のアクションカメラ市場の規模は2014年に760万台(Futuresource Consulting)だったが、1月13日に発表されたTechNavioのレポートは、2015年から年平均23%の成長率で市場が拡大し、2019年には2000万台に達するとしている。そうなればコンパクトと一眼レフの、それぞれのデジタルカメラの市場規模に匹敵することになるが、そのためにはアクションカメラやその映像の用途を広げる必要があるだろう。
ニコンはフィルムカメラ時代にNIKONOS(ニコノス)という本格的な防水機能を持つレンズ交換式の水中カメラを販売していた。水中撮影だけでなく、悪天候下やスキーなどのレジャーでの撮影にも使われて独自の市場が形成され、ニコンが発売する純正品以外にも、GoProのようにサードパーティーがいろいろなアクセサリーを出していた。NIKONOSのブランドを復活させても良かったのではないかと思う。
図は製造業のイノベーション戦略を、技術とドメインという軸で表わしたものだ。①は、すでに獲得している経営資源やバリューネットワークの多くを活用してプロダクトのイノベーションを行う水平型の多角化だ。過去には、写真というドメインにおいてカメラメーカが新しいデジタル技術を導入し、フィルムカメラからデジタルカメラへのプロダクトイノベーションに成功した事例がある。
②は自社の製品や保有技術に関連した新しい製品によって、別のドメインに参入するという集中型多角化だ。富士フィルムは写真市場で培った化学などの技術を駆使して液晶フィルムや医薬のドメインにシフトし、アップルは自社のコンピュータ、OS、アプリケーションソフトウェアという製品・技術に関連したiPodという製品によって音楽という新しいドメインに参入した。
ニコンはレンズなどの保有技術を活用して、GoProが開拓したアクションカメラという市場に参入する。写真関連の市場とはいえ、これまでビデオカメラを出してこなかったニコンにとって、動画が中心となるアクションカメラの市場は新しいドメインといえるだろう。
パナソニックが発表したDMC-CM10というモバイル通信機能を持ったデジタルカメラは①の方向を目指していると思われるが、これについては次回に考えてみたい。
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