2024年11月24日(日)

イノベーションの風を読む

2016年1月28日

KeyMission 360

 ニコンは1月6日に「360度の撮影が可能なカメラで、アクションカメラの市場に参入する」として、KeyMission 360というニコン初のアクションカメラを発表した。このカメラは全天球の静止画と動画の撮影が可能だ。

 全天球の撮影が可能なカメラは、すでにリコーのTHETA(シータ)という製品がある。KeyMission 360は、このTHETAとGoProを足したようなアクションカメラといえる(コダックのアクションカメラSP360は360°x214°の視野)。KeyMission 360は、半球を撮影できる2つのカメラユニットの画像をカメラの中でつなぎ合わせて記録する。4K UHD画質での撮影、水深30メートルまでの防水、そして耐衝撃性、耐寒性、耐防塵性を備えている。ブレを低減する機能もあるとされているが、空撮やスポーツなどの激しい動きの中でどれだけ有効かは未知数だ。

 ニコンは3本のサンプル映像をYouTubeで公開している(”KeyMission sample”と検索すればすぐに見つかる)。パソコンの場合はGoogle Cromeブラウザを使用して動画を再生してマウスで画面をドラッグすれば、好きな方向の映像を見ることができる。スマートフォンでは横向きにして、YouTubeアプリで再生しながらスマートフォンの方向を変えれば、その方向の映像を見ることができる。

 このような映像を撮影し編集することは非常に手間のかかる仕事だ。それがKeyMissiion 360で撮影した映像をパソコンに取り込んで、YouTubeの専用アプリでアップロードするだけでよくなる。これまでのGoProのユーザの多くが興味を持つに違いない。

 すでにGoProによって開拓された市場とユーザをターゲットに、ニコンは効率的なマーケティングを仕掛けることができる。YouTube以外にもVR(バーチャルリアリティ)の映像を楽しむ専用のヘッドマウントや、スマートフォンをセットして使用するダンボール製のヘッドマウントなども登場し、ちょうど視聴環境が整い始めた絶好のタイミングでもある。

 ニコンはKeyMission 360の映像を楽しめる環境や機会をさらに増やし、その映像を撮ろうとする人々のモチベーションを掻き立てる必要がある。インタラクティブな映像をテレビ放送することはできないので、KeyMission 360で撮影した映像をテレビ用の画面サイズに切り出して放送用に編集する必要があるが、撮影の後でフレーミングを行うことができると考えると面白い。


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