2024年7月16日(火)

風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2009年11月12日

「うまくいかない、悔しい」
この心の動きを成長に結びつけてやる

 木工作に限らず、風の谷幼稚園の教育カリキュラムの多くは、子どもたちに以下のプロセスを体験させるよう設計されている。

課題をクリアし、先生や仲間と喜びを分かち合う

1)「うまくいかない、悔しい」と心が動く
2)「どうすればうまくいくか」を考える
3)試行錯誤を重ねながら、目標を達成する
4)自分の失敗体験と成功体験をもとに、仲間をサ ポートする
5)みんなで喜びを分かち合う

 羊毛を使ってのポシェットづくり、なわとび、跳び箱、竹馬乗りまであらゆるカリキュラムにおいて、これは徹底されている。もちろん、中には与えられた課題を苦もなくクリアできる子どももいるが、そんな子どもには一段階高い目標が課せられる。これは、上記のプロセスをあえて経験させるためだ。

 「どんな状況にも決して怯まない・屈しないという強さ。そして、苦しいことにも耐えられ、覚悟を持って物事に臨めるような強さを身につけさせてやりたいと思っています。そのために、問題にぶつかり、悔しい思いをし、『でも、何かいい方法があるはずだ』と考え、問題を乗り越えていくプロセスをたくさん経験することこそが大切なのです、」(天野園長)

 冒頭でも述べたように、木工作がうまくできたり、竹馬に乗れるようになるのは、あくまでも結果であり、大切なのはプロセスである。これを省いて「成功への近道」を教えることは風の谷幼稚園では「あり得ない」ことなのである。

 また、あえてこの経験をさせるのは、失敗を恐れない心を育てるためだけではない。これは第6回で紹介した「人や自然と交流できる力」の育成とも結びついている。

 「自分がうまくいかなかった経験があるからこそ、うまくいかなくて困っている人の気持ちを思いやれるようになるのだと思います。仲間を気遣い、一緒に問題を乗り越え、仲間の成功を自分のことのよう喜べる。そんな心をもった子どもを育てたい。指導は一人一人の子どもにあわせておこないますが、仲間と一緒に問題を乗り越えるということが大切なのです」(天野園長)

 「仲間のおかげで問題を乗り越えられた」「仲間の役に立てた」・・・、こんな心の動きを感じ、心を通じ合わせ、それを支えにしながら風の谷の子どもたちは毎日を問題に立ち向かっている。

何かいい方法はあるはずだ

 この「問題は必ず解決できるという思考力」を育てるためには、もうひとつ絶対に欠かせないことがある。それは大人が模範を示すことである。たとえば、風の谷幼稚園にはこんなエピソードがある。


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