2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年3月10日

 核兵器廃絶を掲げてきたオバマ政権だが、1兆ドルの核戦力の更新を計画している、と1月23-29日付の英エコノミスト誌が報じています。要旨は、以下の通りです。

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LRSOが核使用の敷居を低める

 オバマ政権は今後30年かけて米国の核戦力を更新しようとしている。その一環である新型長距離巡航ミサイルLRSOの開発に対し、核軍縮派のペリー元国防長官らが異を唱えている。LRSOは米国の空爆作戦を牽引してきた核攻撃型巡航ミサイル、トマホークの後継だ。敵は核巡航ミサイルで攻撃されても、それが通常弾頭だったのか、核弾頭だったのかわからない、LRSOがなくても米国の核抑止力は損なわれないというのがペリーらの言い分である。

 他方、オハイオ級原子力潜水艦や地上発射ミサイル、大陸間弾道ミサイル(ミニットマンIII)の後継の開発については、反対はほとんどない。ロシアが新START条約の許す限度の700基のミサイルと爆撃機を保有している現在、やはり必要というのが大方の見方だ。

 そこで、議論の焦点はLRSOや自由落下核爆弾B61-12の開発になるが、これらは、主として次期爆撃機B-3に搭載されることになっている。既にノースロップ・グラマン社が開発を請け負い、2025年には就役する。

 実は、この新型爆撃機の登場が、LRSOの正当性を主張する立場を弱くしている。加えて、B-3に搭載される新型爆弾が、核威力の拡大と縮小(広島型の3倍~2%)が可能で、命中精度も30メートル内と、これまでのミサイルよりはるかに高性能である。反対論者たちは、命中精度が高く、核威力を非常に小さくできるために、司令官たちがミサイル発射に踏み切る敷居が低くなる、と主張する。


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