2024年4月23日(火)

報道にはすべて裏がある

2016年2月16日

 北朝鮮による4回目の核実験とその後の長距離弾道ミサイルの発射により朝鮮半島で緊張が高まっている。北朝鮮に対する制裁として韓国政府が今月10日に開城工業団地の操業停止と韓国人の引き揚げという措置に踏み切ると、北朝鮮は翌11日に「朝鮮半島情勢を対決と戦争の瀬戸際に追いやる危険千万な宣戦布告だ。絶対に容認できない」と反発。開城工業地区を軍事統制地域に指定して韓国人全員の追放と資産凍結をすると宣言してみせた。来月には米韓の合同軍事演習も予定されており、今後も南北間の緊張は続くものと見られている。

米国も中国もアテにならない

 そんななか韓国国内で高まっているのが、核武装論だ。与党セヌリ党の一部から出てきたこの議論、年明けから韓国最大紙の『朝鮮日報』がたびたび取り上げている。たとえば1月28日付の同紙社説では「米中に頼れない韓国、今こそ独自の核武装を」とのタイトルでこう説いている。

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 「北朝鮮の各問題解決の責任を中国に押し付けてきた米国や、北朝鮮による相次ぐ核実験を黙認してきた中国を信じるべき時はもう終わった。今や韓国は自衛策として最低限の核兵器を保有するため、国民的な議論を行わざるを得ない状況に直面している」(日本語版から抜粋)

 要は米国も中国もアテにならないので、北朝鮮に対抗して韓国も自前の核兵器を保有することを議論すべきだというのである。この論調は、北朝鮮による核実験から5日後にあたる1月11日付同紙社説ではもっとあからさまだ。このなかで、米国についてこう述べている。

 「何よりも腹立たしいのは米国の曖昧な態度だ。(中略)これまで米国が核問題解決に向けてここ10年にわたり掲げてきた『戦略的忍耐』と呼ばれる対応策は、言い換えれば『戦略的責任回避』に他ならないことが少しずつ明らかになっているのだ」

 言うまでもないが、韓国は米国と軍事同盟を結んでいる。だが、その米国が北朝鮮の核開発の動きになにもしようとしないと苛立っているのだ。1月28日付の同紙社説にはこうある。

 「予測不可能な北朝鮮が突然、大韓民国に核攻撃を加えた場合、中国や米国がこれを阻止してくれるだろうか。米国がウクライナやシリアでやっていることを見れば、たとえ米国がわれわれを支援したとしても、それはソウルが灰じんに帰した後だろう」


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