江藤哲郎のInnovation Finding Journey

2016年4月19日

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江藤哲郎 (えとう てつろう)

ベンチャーキャピタリスト

 鹿児島県出身。1984年慶應大商学部卒業。同年(株)アスキー入社。86年マイクロソフト(株)設立に参加し、マーケティング部長代理としてWindowsコンソシアム、マルチメディア国際会議等を立ち上げる。

 92年(株)電通入社後、デジタル・コンテンツの開発とビジネス化を推進。2002年から情報システム局でSAPアジア共通会計システムを中国・アジアの30拠点に導入他、国内外の全システム開発を担当。2013年から経営企画局専任局次長として、電通が約4,000億円で買収したイージスとのグローバルIT統合の責任者。

 2015年7月、ワシントン州カークランドにInnovation Finders Capitalを設立。AI、ビッグデータ等スタートアップを日本と繋げる。家族は妻と一男。
 

 ところで私はロンドンとのやりとりには大変苦労した。やはり世界を制覇したことのある国の人たちの意識と自信は違うな、とも感じた。グローバルな事は任せろ、日本人は黙ってみていなさいと言っているかのようだ。当初はボタンの掛け違いから、カウンターパートであるイギリス人のCIOに激怒され、怒りのメールの消火活動に追われたことも一回や二回ではない。ロンドンのCIOは、統合作業の意思決定権は全てロンドンにくれ、IT予算に本社は口を出すな、グローバルなIT体制の人事権も主張した。

ロンドンの金融街シティ ©Naonori Kohira

 だが、東京本社の人間としては、会社を買った側として中身を質問し、理解し、本社の経営判断をサポートする役割がある。ロンドンの案はITインフラを海外は一本化すると言う至極真っ当な案だったのだが、案の中身が本当にベストなのかどうかを十分吟味してから賛同した。嫌がられるのは承知の上で注文も多くつけた。ITは使っている金額が一番大きいので、意思決定に携わる者の責任も非常に大きいのは言うまでもない。

本社社員に目利きは絶対に必要

 実はさらに厄介だったのは現状が変わる従来の海外拠点から、買ったのはこっちではないのか? という疑問と共に様々な質問やクレームが私の背中から突き刺さるように飛んできたことだ。しかし、統合という大目標を設定したわけだから、ロンドンに実情を理解してもらいながら、既存拠点のフロントに立ってインターフェイス役に徹した。

 おかげで、東南アジアを最初に、インド、北米、中国とほぼ予定通りに統合を進めることができた。苦労話ばかりだが、電通をやめるときには、ロンドンのCIOが彼の主催でチーム全員を呼んで送別ディナーに招待してくれ、子供の記念品までもらったのは本当にいい思い出になった。やっぱり最後は信頼関係だなと身に染みた。

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