2024年12月22日(日)

サムライ弁護士の一刀両断

2016年4月14日

3. 関東財務局の指摘とは?

 さて、今回の件では、何が争点となっているのでしょうか。今回、関東財務局が指摘したのは、「LINE社が発行している前払式支払手段の一部について、供託金の支払等がされていない。」ということのようです。

 スマートフォンなどのゲームの中には、ゲームプレイ自体を無料としつつ、ゲーム内で利用できるアイテムなどをユーザーに対して有料で販売して収益を得ているものが数多くみられます。

 そして、ゲーム内でアイテムを販売する場合に、ユーザーがその都度代金を支払うのではなく、まずはユーザーに一定数量のゲーム内通貨(コインや宝石などの形を取ることが多いです)を購入してもらい、ゲーム内通貨とアイテムを交換するという方式を取ることがあります。このような「ユーザーが購入可能なアイテムと引き換え可能なゲーム内通貨」は、「前払式支払手段」にあたる場合が多く、よって発行保証金の供託等が必要となります。

 今回話題となったLINEのゲームにも、ユーザーが購入可能で、ゲーム内通貨として利用できる「ルビー」が存在していますが、「ルビー」が「前払式支払手段」にあたることについては意見の対立はないようです。

 今回のケースでは、「ルビー」とは別に、「宝箱の鍵」というアイテムが存在し、このアイテムが「前払式支払手段」にあたるのではないか、という指摘がされているようです。

 「宝箱の鍵」は、それ自体はゲームに有利な効果はありませんが、ゲーム上で入手できる「宝箱」を開けることができるアイテムです。ユーザーは「宝箱」を開けることで、特別なアイテムをランダムに入手することができます。
「宝箱の鍵」は、同時に何個もストックすることが可能ですが、1度使用するとなくなってしまいます。「アイテムと交換可能な消費アイテム」という点では、ゲーム内通貨の「ルビー」と似たような働きをします。

 しかし、「宝箱の鍵」は「ルビー」とは違い、ユーザーが購入しようとした場合に金銭では購入することができません。金銭の代わりに、ゲーム内通貨である「ルビー」を支払って購入することになります。

 「宝箱の鍵」は、「前払式支払手段」にあたるのでしょうか。


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